慣性の法則に逆らい、荷物を垂直落下させるアマゾンの特許
アマゾンは、慣性の法則に逆らって、ドローンから荷物を垂直落下させる特許を出願している。宅配ドローンの規制が緩和されれば、荷物は空から降ってくるのだろうか? by Jamie Condliffe2017.02.16
「What goes up must come down.(上がるものは必ず下がる)」は、「自業自得」「驕れる者久しからず」を意味する英語のことわざだが、アマゾンのエンジニアは「空高く舞い上がったドローンが、荷物を落とす」アイデアを実現しようとしている。
大手EC企業のアマゾンは、英国の有料会員向けにドローンで荷物を配達するとき、玄関に届けるのではなく、何もない広い場所に着陸している。しかし、アマゾンの特許資料には、着陸ではなく、荷物を空から落とす方法の概要が記されている。
アマゾンの特許では、飛行中のドローンから荷物を確実に投下する方法が記述されている。通常、空から何かを投下すれば、ドローン本体の前進運動と地球の引力が合わさり、荷物は放物線の弧を描くように落ちるはずだ。しかし、無誘導爆弾のような方法で荷物を投下するのは隣近所に迷惑だろう。そこでアマゾンは、荷物をドローンから離すときに力を加え、垂直に落とす方法を考えているのだ。
また、荷物を入れる箱に、着地場所を調整するための簡単な仕組みを追加する手法も提案している。たとえば、落下経路を微調整できるフラップのような補助翼を付けたり、上空のドローンから無線で指示を受けたりするのだ。
モーターなしで上空から荷物を投げ落とすのがいいアイデアだ、と考える企業はアマゾンだけではない。スタートアップ企業のアザーラボ(本社サンフランシスコ)は最近、使い捨ての段ボール製ドローンを発表した。ドローンは、大型の母機から放出され、荷物を動力なしで目的地まで運ぶ 。
ただし、どんなに優れたアイデアがあっても、ドローンによる荷物の配達は世界中のほとんどの国で規制されている。当面アマゾンは、このアイデアをイングランドの田舎町で試すしかない。規制が緩和されるまで、アマゾンの荷物が落下するとしても、ポストの受け口から底までの距離でしかない。
(関連記事:USPTO, “DARPA、キノコ製補給ドローンの開発に資金提供,” “アマゾン初のドローン配達、利用可能なのは近所の二人だけ,” “U.K. Signs a Deal with Amazon to Test Delivery Drones“)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。