下水監視でサル痘の流行把握、スタンフォード大 変異株も
スタンフォード大学は6月、下水中にサル痘ウイルスが含まれていないかを調べる検査を11カ所の下水道で開始した。サル痘感染者が検査を受けに行く前に、感染がどれだけ広がっているかをコミュニティ・レベルで知ることができる。 by Hana Kiros2022.07.26
スタンフォード大学の「下水コロナウイルス警戒ネットワーク(Sewer Coronavirus Alert Network:SCAN)」は先月、毎日実施している下水検査の対象ウイルスにサル痘を追加した。それ以降、サル痘ウイルスは、SCANが検査しているサクラメント、パロアルト、その他カリフォルニア州の数都市の11の下水道システムのうち10の下水道から検出されている。
7月21日現在、米国では2593件のサル痘症例を記録している。世界的には、サル痘ウイルスは74カ国で検出されている。そのうち68カ国はこれまでサル痘が報告されたことのない国だ。
SCANは2020年に、カリフォルニア州の下水における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の監視を始めた。今回の取り組みは、汚水処理場へと流されるシャワー・流し・トイレからの排水からサル痘ウイルスが検出されるかどうかを米国の公的セクターが検査する唯一のものだ。未精製・未処理の下水に含まれる固体から遺伝物質を抽出することで、ウイルスあるいは細菌がどこに広がったか、またどれだけ感染が流行しているかを、コミュニティ・レベルで知ることができる。
過去2年間において、下水中の新型コロナウイルス濃度は、個人への検査により確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)症例の傾向を反映してきた。2021年末には、米国におけるオミクロン変異株の流行が臨床検査により報告されるよりもずっと早期に発生していたことが、下水調査で示された。
SCANの共同所長であり、スタンフォード大学で病原体の感染を研究するアレクサンドリア・ベーム教授によると、初期データからはこれと同様に、下水中のサル痘ウイルス濃度からコミュニティにおけるサル痘症例がわかることが示唆されるという。
ベーム教授らのチームは現在、下水データを用い、前月のサル痘症例数との相関をモデリングすることにより、監視対象のコミュニティにおけるサル痘感染者の実際の人数の推定を試みている。毎日の更新も可能なこの推定は、有症状者が医療機関を受診して検査を受けるのを待つよりもずっと迅速にコミュニティ内感染を追跡管理できる方法となるはずだ。
新型コロナウイルス感染症の検査と異なり、サル痘の場合は …
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