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Cameroon’s Internet Outage Is Draining Its Economy

カメルーン政府、反政府デモが怖くてインターネットを遮断

カメルーン政府が、反政府デモ対策でインターネットを遮断し、自国経済を混乱に陥れている。人口の20%が住む地域で銀行が使えなくなり、経済活動が停止してしまった。 by Jamie Condliffe2017.02.15

1月17日、カメルーンに暮らす人の約20%がインターネットをブロックされた。接続できなくなって4週間ほど経つが、原因は政治的な策略だと言われている。しかし、カメルーン政府は厳しい現実と向き合わなければならない。インターネットを遮断すれば、自国の経済を悪化させるからだ。

接続が遮断されて影響が出るのは、主にカメルーンの北西部と南西部の英語圏の地域だ。インターネットの停止について、政府も、インターネット事業者(ISP)であるオランジュ・カメルーンやネクステル、ボーダフォン・カメルーンも、何も発表していない。

しかしBBCの報道によると、多くのカメルーン人はこの機能停止は、カメルーン内の英語圏のデモの阻止を意図した措置だと考えている。影響のある地域では、最近反政府デモが数回あった。英語を話す市民は、フランスびいきの政府から軽視されていると不満を訴えている。

機能の停止させた方法は不明だが、BBCはカメルーン国内のすべてのISPは、光ファイバーを運用する国営企業の管理下にあると伝えている。

カメルーン政府が本当に国内の一部地域で接続を遮断しているとしたら、おそらく経済的には失敗だ。昨年末にブルッキングス研究所のダレン・ウェスト部長による分析で、国家がインターネット・サービスを遮断すると、自国の経済に深刻なダメージを与えることがわかった。ウェスト部長によると、1年間に19カ国81カ所でインターネットが遮断され、合計24億ドルの損失があったという。

カメルーンも例外ではない。 CNNのインタビューでカメルーン南西部の町ブエアの「アクティブ・スペーシズ」というテクノロジーハブを経営するオットー・アカマは、多くの企業が業務を停止していると述べた。「町中のオフィスはがらんとしています。テック企業はすべて停止しています。ほとんどの銀行は営業停止になり、ATMの機械も動きません。それでみんな現金を下ろせないんです」とアカマは説明した。Webサイト「マザーボード」によると、メッセージを送受信するため、危険があっても、インターネットがつながる遠方まで移動する人もいるという。

国連はカメルーン政府に 国内のインターネット提供を再開するように求めている。もしインターネットの再開が遅れれば、ビジネスの停止によって経済に深刻な影響が出るかもしれない。

(関連記事:BBC, CNN, Motherboard,  “政府によるネット接続の遮断は経済の停止を招く悪手である”)

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クレジット Photograph by Carsten ten Brink | Flickr
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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