与信を数値化したクレジットスコア(信用度)は、住宅担保ローンからクレジットカードまで、アメリカの消費者のあらゆる借入の返済能力を評価する重要な手法として、ずっと使われている。しかし、クレジットスコアを算出するFICO等の企業は、クレジット・ヒストリー(支払履歴)やクレジットカード残高といった、その時点ですでに信用があるかどうかを示すに要素を根拠にする傾向がある。
近年、多くのスタートアップ企業が起業しているのは、実績のない借り手でも、実際には返済する可能性が相当に高い場合があるはずで、膨大な量のデータ、特に、従来は信用評価の一部として使われなかったデータを分析すれば、返済能力を定量化できると考えているからだ。こうした企業は、アルゴリズムと機械学習により、データ中の重要度の高い傾向を特定し、借り手の信用リスクを測る、新たな指標を作っている。
これらの企業は創業間もないが、全米消費者立法センター(NCLC、消費者支援団体)のレポートによれば、現在まで、新手法が貸付の利用を有意に拡大した明確な根拠はなく、新手法を利用する業者は、以前より高い金利を課すことが多い、という。消費者運動活動家が危惧しているのは、従来であれば信用分析に組み込まれなかった、オンライン上の消費者行動に関わる情報や金融データ等の新しいデータソースが、業者自身も無自覚にバイアスとなり、特定の借り手が不公平に判定されることだ。アメリカでは、金融業者が人種や性別、宗教を貸付の判断材料にすることを法律で禁じている。
ダグラス・メリル元グーグルCIOが創業したゼストファイナンス(本社ロサンゼルス)は、新たなクレジットスコア算出プラットフォーム「ZAML」により、この問題を解決した、という。ゼストは、機械学習ソフトウェアを貸付業者に販売し、コンサルティング事業を提供するが、ゼスト自身は貸し付けない …