「絵文字」(エモーティコン)は、文字だけの会話にかわいらしさを加えてくれる。たとえば、ピザやチーズバーガーの絵文字は「今晩何食べたい?」といった単純な会話を少し和ませてくれる。だが、もっと複雑な心境をぴったり表現できる絵文字を探そうとすると、口をぽかんと開けて冷や汗を流している絵文字のような心境になる。
カナダのトロント市に本社があるスタートアップ企業ワールスケイプのアンドロイドアプリDangoは、増え続ける膨大な選択肢を簡単に減らせるテクノロジーを持つ。一方、絵文字を管理するユニコード・コンソーシアムによれば、すでに1000字を優に超える数の絵文字が登録されており、バリエーションも含めればもっとあるという。しかも、今月だけで72個の絵文字が追加された。
Dangoという社名は、日本の和菓子に由来する(もちろんだんごの絵文字もある)。DangoはSlackやSnapchatなどのコミュニケーションアプリ、携帯電話にプリインストールされているテキストメッセージアプリの頂点に君臨するといってもいい。つまりユーザーが入力している内容や、相手がタイプした言葉に返事をするときに最適な絵文字を変換候補として提示してくれるからだ。ユーザーは、候補をタップして会話に追加するだけだ。
Dangoは、単語から連想される絵文字を単純に見つけ出すのではなく(「ケンタ」と入力すると鶏の絵文字を候補にするのではなく)、深層学習テクノロジーで、文章全体が表現しようとしていることを把握し、関連がありそうな絵文字候補を提示してくれるのだ。たとえば、「彼女が『はい』って言ったよ!」と入力されると、Dangoは指輪やウェディング・ベールをかぶった花嫁の絵文字を候補として提示する。
ワールスケイプのザビエル・スネルグローブ最高技術責任者兼共同創業者によると、DangoはInstagramやReddit、Twitterへの投稿を検出し、学習している。現在、アンドロイド端末でしかDangoを利用できないのは、アップルはソフトウェア開発者に、チャット内容を第三者に送信するツールの作成を認めていないからだ。iPhoneに搭載するにはキーボード・アプリの機能の一部として提供する必要があり、実際ワールスケイプは、Dangoとは別にMinuumというキーボード・アプリを販売している。ただし、Minuumは絵文字を候補を予測してはくれるが、単純に単語から連想される絵文字を出してくれるだけだ。