カリフォルニアを拠点とする半導体メーカー、グローバルファウンドリーズが中国に100億ドルを投じて新工場を建設する計画があることを発表し、トランプ政権を動揺させるかもしれない。
工場新設は、今後アメリカやドイツ、シンガポールの工場で半導体の増産する、グローバルファウンドリーズの拡大戦略の一環だ。しかし、米国内の設備の拡充を進めるのが無難と考えられている現状において、トランプ大統領によるアメリカ国内の製造施設の拡大を奨励する方針とは逆行する話だ。
中国の成都市に建設予定の新工場は、2019年末までに、毎月最大8万5000個のシリコンウェハーを製造する予定であり、アナンドテックによれば、完成すればグローバルファウンドリーズ最大の生産能力のある工場になる。
ニューヨークタイムズは、新工場は中国政府の政策にうまくいった可能性を示している。半導体産業への巨額投資と中国企業に中国国内で製造された半導体の使用を促す新たな政策により、中国での事業拡大は今が好機だ。
最近、複数のアジア系テック企業が、今後数年以内にアメリカで工場を立ち上げる計画があることを発表している。 しかし、完全に実施されないとしても気前よく約束するトランプ大統領のやり方を、中国企業のCEOが見習っているだけとの可能性をタイムズの別の記事が紹介している。
グローバルファウンドリーズの決定は、トランプ大統領が何をいおうと、東洋には依然として大きな魅力があることを改めて知らしめている。中国には優秀で安価な労働力と健全な拡大が見込める市場があるのだから、当然のことだ。
中国市場の魅力が問題であることはホワイトハウスも承知している。オバマ政権は昨年末、米国内の半導体企業が海外の競合企業との競争において、米国内における製造拡大を支援するために、業界の専門家からなる特別委員会を召集した。しかし、支援策が道半ばであることは明らかだ。
(関連記事:AnandTech, The New York Times, “半導体王国に俺はなる! 中国の野望はたぶん無理,” “ソフトバンクとトランプ次期大統領の発表は、シリコンバレー幹部との会合の前哨戦,” “アメリカの半導体産業は、有利な新戦略を編み出せるか?”)