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Meet the LGBTQ activists fighting to be themselves online in Malaysia

監視、迫害、嫌がらせ……
自分らしく生きるために闘う
LGBTQ活動家たち

保守的なイスラム教国であるマレーシアでは、オンライン・プラットフォームがLGBTQの人々がつながり、組織化することに役に立ってきた。だが、そうしたプラットフォームでの露出は、検閲、監視、攻撃されるリスクに晒されることにもつながる。 by Megan Tatum2022.06.14

ヌル・サジャ・カマルザマンはマレーシアで10年以上も著名人として知られていた。長い黒髪とマリリン・モンローのような曲線美を持つ古典的な美しさを持つ彼女は、インスタグラムで厳選された、完璧に配置された写真や商品の宣伝、インスピレーションを与える言葉を流していて、数十万人のフォロワーを持つ。マレーシア西海岸の豊かなセランゴール州に生まれた37歳の彼女は、国際美人コンテストに参加し、ちょっとした演技の仕事をこなし、自身の美容ブランドを立ち上げていた。

だが、保守的なイスラム教国であるマレーシアに住むトランス女性であるカマルザマンにとって、彼女のネット上の人気と、そのことによってもたらされる機会の増加は、同時にリスクをも増大させるものだった。

まず最初に起こったのは、下劣なネットいじめの嵐だった。次に、おかしな言いがかりがつけられた。カマルザマンがイスラム教徒が実行するサウジアラビアのメッカへの小巡礼、「ウムラ」をしたために、マレーシアで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクが起こったというのだ。パスポート、運転免許証、出生証明書など、カマルザマンの個人的書類の詳細がネットに流出したり、殺害予告を受けたりもした。政府関係者は公然と彼女に「正しい道に戻る」よう促した。

2021年1月、事態はさらにエスカレートした。カマルザマンは、セランゴール州の宗教局であるJAISの職員の前に連行され、心配する両親の前で少なくとも3人の男性に殴られ、押され、体を触られたと主張している。その後、逮捕されて「イスラム教を侮辱した」罪で正式に起訴された。カマルザマンは何の犯罪をおかしたのか? それは数年前の私的な宗教儀式でマレー人女性の伝統的な服を着ていたことだった。

カマルザマンは逃げる時だと考えた。2月23日の法廷審問に出席する代わりに、2児の母である彼女は家族と別れてバンコク行きの飛行機に乗り、すぐに国連の国際移住機関(IOM:International Organization for Migration)の職員に助けを求めた。マレーシア当局は追跡を続けた。カマルザマンが友人と滞在していたマンションに立ち入り、彼女を拘束するようにタイ移民当局を説得したと報じられている。カマルザマンはすぐに保釈され、翌月にはタイを離れた。その時になって初めて、安全だと感じ始めたという。「オーストラリアにつくとすぐに、自分の居場所にきたと感じました。女性として、私という人間として受け入れられたからです」。

ヌル・サジャ・カマルザマンの話はこれまでで最もよく知られたものである。だが、これはマレーシアのLGBTQコミュニティにとってオンライン・プラットフォームが諸刃の剣になってきたことを示す多くの事例の一つに過ぎない。

オンライン・プラットフォームはLGBTQの人々がつながり、コミュニケーションをとり、自らの権利を擁護するための貴重な機会を作り出してきた。しかし同時に、オンラインでの参加は、このような盛り上がりを見せるコミュニティが、保守的なイスラムの価値観を損ない、マレーシアを「正しい道」から逸脱させると考える人々からの検閲・監視・攻撃に晒されることにもつながる。

マレーシアは非常に多文化な社会であり、マレー系、中国系、インド系の民族が混在している。しかし、イスラム教の保守的な宗派が支配的な宗教であると同時に、大きな文化的影響力を持ち、同国のLGBTQ市民の生活を左右する政治や政策を作りだしている。たとえば、同性間の関係はむち打ちの刑に処され、最長で20年の禁固刑に処される。この法律は、マレーシアが英国植民地だった時代にまでさかのぼる。いまだに有効で、ほんの6年前には、野党指導者アンワール・イブラヒムを起訴するのに使われた。

米シンクタンクのピュー研究所(Pew Research Center)が発表し、よく引用される2013年の研究によると、社会が同性愛を受け入れるべきと考えるマレーシア人は9%にすぎない。活動家によると、人々の態度は変わりつつあるものの、多くのマレーシア人は自分のセクシャリティやジェンダー認識を隠し、露見するのを恐れて暮らしているという。

このような背景の中、オンライン空間は避難場所となっている。クアラルンプールに拠点をもつある活動家は、マレーシアでインターネット普及が急速に進み始めた1990年代後半に、クイア・コミュニティのウェブ(Web)サイトを設立した時のことを思い出す。「当時はインターネットがとても新しいものだったので、オンライン上にコミュニティ空間を持つことは本当に安全でした」と彼女は振り返る。

 

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このWebサイトは掲示板のようなもので、ローカルなイベントを広告したり、人々がつながりあったりできるようにした。その後、数年の間に、クイア女性やノンバイナリーの人々のためのフォーラムを提供するパープル・ラボ(Purple Lab)や、資料つきの意見文やニュース記事を組み合わせ、レシピまで掲載したWebサイトであるクイア・ラピス(Queer Lapis)などといったプラットフォームが登場した。マイスペース(Myspace)には小さなコミュニティ・グループが乱立し、レディット(Reddit)や初期のオンライン・デートサイト上で議論が始まった。

「それからフェイスブックが出て来ました」と、ピープル・ライク・アス・ハングアウト(People Like US Hangout:PLUHO) の共同創立者兼代表のギャビン・チョウは笑顔で言う。マレーシアの中国系家庭で育ったチョウは、彼を取り巻く国から二つの意味で距離を感じていたという。ゲイであることに加え、中国系マレーシア人としての文化的自己完結感を感じていたことを思い出す。チョウは英語もマレー語も話せず、メディアはほとんど台湾、香港、中国のものだけ見て育った。

学生時代には、LGBTQ関連の資料を調べたのは、同性婚を合法化するかの議論の前に調べものをするときだけだったと記憶している。しかしフェイスブックの登場により、「『いいね』を押し始めると、知い合いかもしれない人がアルゴリズムで表示されて、たとえば台湾のゲイの人とつながれることに気が付きました。それでソーシャルメディアやオンライン空間を使って、自分のセクシャリティを探求するようになりました」とチョウは言う。英国で1年間学び、その間にグラインダー(Grindr)のような出会い系アプリを使ってネット上での露出を増やしたチョウは、母国で拡大するLGBTQムーブメントでより積極的な役割を果たそうという熱意をもって持って帰国し、友人たちとともに「PLUHO」を2016年に共同設立した。PLUHOはオフライン・イベントを企画する社会集団として始まり、そののちに、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムを活用して …

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