ビットコイン取引、暗号通貨が上限に達し行き詰まり
ビットコインが能力の上限に到達し、広範囲で利用する構想が座礁する恐れがある。 by Tom Simonite2016.03.05
1年以上前、電子通貨ビットコインのユーザーや取扱業者は、テクノロジーの問題を回避する方法について議論していた。業界のリーダーの中には、この問題のせいでシステム全体が無効になりかねないという人もいた。今週、その問題が極めて現実になった。一部のユーザーや取扱業者が、ビットコイン経由で送金しようとして、資金が使えなくなっていることに気付いたのだ。
この問題は、1秒間に最大7件しか取引を処理できないビットコインの設計に起因している。ビットコインは、世界中の個人や企業のコンピューターの分散ネットワークで実現しており、今週、その能力の上限に達したのだ。取引の未消化要求が積み上がって(自然発生なのか、ビットコインの問題を顕在化させようとした個人やグループによるものかも議論になっている)機能不全に陥ったのだ。
執筆時現在、約2万件のビットコイン取引が処理待ちの状態だが、取引によっては、他のより圧倒的に早く処理される。
ビットコインの取引を優先処理してもらうために料金を上積みしたり、一部のビットコイン用ソフトウェアは、自動的にすばやい処理を推奨したり設定したりする。このような調整機能のないソフトウェアのユーザーは、切り捨てられた格好となった。ビットコインの個人ユーザーもユーザー企業も、数分で済むはずの取引に数時間、場合によっては数日かかることもあると不満を述べている。
列の先頭までジャンプする料金はそう高くない。ビットコイン取扱業者の21,Inc.のオンライン計算機によれば、平均的な取引を優先処理するために必要な料金はわずか7セントだ。
それでも、ビットコイン全体の能力に上限があることは大きな問題として残る。一時しのぎの方法で、数カ月持たせても、能力の上限がわずかに上がるに過ぎない。ビットコインの設計に関する最近の研究では、ビットコインは考え方自体を大きく変更する必要があると結論付けられた。これまで提案された方法では、極めて大きい規模で稼働できる確証が得られないからだ。
(関連記事:The Verge, “Technical Roadblock Might Shatter Bitcoin Dreams,” “The Looming Problem That Could Kill Bitcoin”)
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- MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。