KADOKAWA Technology Review
×
【3/14東京開催】若手研究者のキャリアを語り合う無料イベント 参加者募集中
Bitcoin Transactions Get Stranded as Cryptocurrency Maxes Out

ビットコイン取引、暗号通貨が上限に達し行き詰まり

ビットコインが能力の上限に到達し、広範囲で利用する構想が座礁する恐れがある。 by Tom Simonite2016.03.05

1年以上前、電子通貨ビットコインのユーザーや取扱業者は、テクノロジーの問題を回避する方法について議論していた。業界のリーダーの中には、この問題のせいでシステム全体が無効になりかねないという人もいた。今週、その問題が極めて現実になった。一部のユーザーや取扱業者が、ビットコイン経由で送金しようとして、資金が使えなくなっていることに気付いたのだ。

この問題は、1秒間に最大7件しか取引を処理できないビットコインの設計に起因している。ビットコインは、世界中の個人や企業のコンピューターの分散ネットワークで実現しており、今週、その能力の上限に達したのだ。取引の未消化要求が積み上がって(自然発生なのか、ビットコインの問題を顕在化させようとした個人やグループによるものかも議論になっている)機能不全に陥ったのだ。

執筆時現在、約2万件のビットコイン取引が処理待ちの状態だが、取引によっては、他のより圧倒的に早く処理される。

ビットコインの取引を優先処理してもらうために料金を上積みしたり、一部のビットコイン用ソフトウェアは、自動的にすばやい処理を推奨したり設定したりする。このような調整機能のないソフトウェアのユーザーは、切り捨てられた格好となった。ビットコインの個人ユーザーもユーザー企業も、数分で済むはずの取引に数時間、場合によっては数日かかることもあると不満を述べている。

列の先頭までジャンプする料金はそう高くない。ビットコイン取扱業者の21,Inc.のオンライン計算機によれば、平均的な取引を優先処理するために必要な料金はわずか7セントだ。

それでも、ビットコイン全体の能力に上限があることは大きな問題として残る。一時しのぎの方法で、数カ月持たせても、能力の上限がわずかに上がるに過ぎない。ビットコインの設計に関する最近の研究では、ビットコインは考え方自体を大きく変更する必要があると結論付けられた。これまで提案された方法では、極めて大きい規模で稼働できる確証が得られないからだ。

(関連記事:The Verge, “Technical Roadblock Might Shatter Bitcoin Dreams,” “The Looming Problem That Could Kill Bitcoin”)

人気の記事ランキング
  1. AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 好評につき第2弾!研究者のキャリアを考える無料イベント【3/14】
  3. From COBOL to chaos: Elon Musk, DOGE, and the Evil Housekeeper Problem 米「DOGE暴走」、政府システムの脆弱性浮き彫りに
  4. What a major battery fire means for the future of energy storage 米大規模バッテリー火災、高まる安全性への懸念
  5. A new Microsoft chip could lead to more stable quantum computers マイクロソフト、初の「トポロジカル量子チップ」 安定性に強み
トム サイモナイト [Tom Simonite]米国版 サンフランシスコ支局長
MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。
▼Promotion
U35イノベーターと考える 研究者のキャリア戦略 vol.2
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る