電気自動車の人気は高まっているが、航続距離にはまだ限界がある。テスラ(Tesla)の「モデル 3」の場合、1回の充電でおよそ560キロメートルしか走れない。そして市場の大半を占めるリチウムイオン電池は、安全性に懸念が残っている。
もっと安全かつ長距離を走れる電気自動車向けの電池を作るため、スタートアップ企業のソリッド・パワー(Solid Power)は、より小さなスペースに多くのエネルギーを詰め込める全固体電池の製造に取り組んでいる。
ソリッド・パワーは、リチウムイオン電池の電解質に使われている液体をセラミック層に置き換えた電池を製造する大規模なパイロット生産ラインを立ち上げ、自動車でテストする第一歩を踏み出した。パイロット生産ラインで生産されるフルサイズの電池は小型のノートPCとほどの大きさで、最終的に電気自動車に搭載されるものと同じ大きさとなる。
この全固体電池テクノロジーの商用化はまだ数年先の話だが、ソリッド・パワーは2028年までに年間・自動車80万台分の材料を生産できるよう計画している。実用化できれば、電気自動車の性能を大幅に向上できる可能性がある。
ただしソリッド・パワーには、完成した全固体電池を製造販売する計画はない。その代わり、固体電解質を材料として他の電池メーカーに供給する予定だ、とダグ・キャンベル最高経営責任者(CEO)は話す。
電解質は、充電や放電の際に電池内の電荷を移動させる役割を果たす。現在、電気自動車に搭載されているリチウムイオン電池の電解質は液体だ。固体電池では、電解質の固体層が電池の他 …