ブロックチェーン金融「DeFi」は銀行に代わる選択肢になるか?
銀行などの既存の金融機関よりも低金利で借りられることが多い非中央集権型金融(DeFi)ローンが注目されている。だが、メリットの裏にはリスクもある。DeFiは今後の主流となれるのだろうか。 by Tisya Mavuram2022.05.08
ロビン・キムは2015年にニューヨーク大学を卒業し、経済学の学位を取得した。キムは政府から10万ドル以上のローンを借り入れ、あっという間に高金利に縛られることになった。それ以来、彼は学生ローンの完済に向けて、返済を続けている。
結局、キムは民間の金融機関に借り換えることで金利を下げられたものの、他に方法はないかと考えた。「学生ローンの返済のために、毎月1500ドルも払っていたんです。その返済分を違うことにもっと有効に使えたはずなのです」。
コインベース(Coinbase)の元エンジニアで、NFTのコレクションをキュレーションして共有できるオンライン・プラットフォーム「ギャラリー(Gallery)」の共同創業者でもあるキムは、暗号通貨を売却してローンを返済しようと考えた。しかし、そうすると彼が儲けた分に対して、税金を払わなければならない。
その代わりにキムは、イーサリアムのブロックチェーン上に構築された「アーベ(Aave)」という融資プラットフォームを通じてローンを組んだ。その融資でキムはローンを完済し、今は新たなローンの返済を続けている。
DeFiローンの仕組みはどうなっているのか?
「非中央集権型金融(DeFi:Decentralized Finance)」とは、複雑な金融商品を作るために使われるブロックチェーン・アプリケーションを表す包括的な用語だ。DeFiローンは従来の銀行システムに縛られていないため、金利が低いことが多く、借り手のクレジットスコアに影響を与えない。理論上は無期限に保有できる。
DeFiローンは、あらゆるデジタル通貨をベースにすることが可能だ。中には「ステーブルコイン(安定通貨)」という、米ドルなどの外部通貨に価値を固定する暗号通貨も含まれている。DeFiローンを利用するには、借り手はまず、借入希望額以上の価値のある暗号通貨を担保として預ける必要がある。担保となる暗号通貨をどれ程差し出さなければならないのかは、貸し手が設定する割合による。例えば、ある通貨で100ドルを預け、別の通貨で75ドル借りるようなものだ。
借り手は、例えばステーブルコインで融資を受け、借りたステーブルコインを米 …
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