選挙中、ドナルド・トランプ大統領は米国・メキシコ国境沿いの壁の建築費用について、およそ120億ドルだと述べた。しかし上下両院の共和党幹部は、壁の建設費用をおおよそ150億ドルと見積もっている。
ロイター通信がすっぱ抜いた米国国土安全保障省(DHS)の新たな報告書は、壁の建設費をさらに高額の216億ドルと推定している。建設会社による独自の見積もりでは、計画に不確実性があることから、建設費用は250億ドルに達する可能性があるという。
MIT Technology Reviewは10月に独自に費用を検討し、コンクリートや鋼鉄、建設作業にかかる総費用を270~400億ドルと推定した。総費用は、壁の総延長距離と高さによって大きく変動する。トランプ大統領は選挙中、高さ約11〜20mの壁を建設するつもりだと述べたが、総延長距離については言及しなかった。
トランプ大統領やポール・ライアン下院議長、ミッチ・マコネル上院院内総務が発表した当初費用は、すべて低く見積もられていたようだ。国土安全保障省の最新の推定額216億ドルはMIT Technology Reviewの見積もり額に近いといえば近いが、編集部の予測では、216億ドルで建設できるのは、高さ約15m、厚さ約30cmの壁を約965kmの壁が限度だ。一方、国土安全保障省の報告書では、壁の総延長を約2012kmとしている。(MIT Technology Reviewのウィジェットを使えば、壁の高さと距離を変えて総工費を推定できる)
また、ロイター通信によれば、壁の建設には3年以上かかる。つまり、9月に建設を始めて、すべてが順調に進んでも、トランプ大統領の任期1期目の終了間際になってようやく完成する。
とはいえ、壁の完成が目標とは限らない。国土安全保障省の報告書によれば壁は段階的に建設される可能性があり、サンディエゴ近郊の短い区間とテキサス州の一部の合計約42kmが最初の対象地域だ。部分的にも着工すれば政治的には勝利であり、必要な費用は50億ドル以下に抑えられる。また、建築資材を輸送しにくいへき地に壁を建設する際の問題を避けられるメリットもある。
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