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Quantum computing has a hype problem

熱狂に沸く量子コンピューターが抱える「誇大広告」の功罪

量子コンピューティングのスタートアップが大流行しているが、近い将来に実用的なものを生み出せるのだろうか? メリーランド大学カレッジパーク校の物理学者であるサンカル・ダス・サルマ教授は、量子コンピューターが抱える誇大広告の問題に懸念を示す。 by Sankar Das Sarma2022.03.29

バズワードとしての量子コンピューティングは、おそらく誇大広告という点では人工知能(AI)よりも下に位置する。アルファベット(グーグル)、アマゾン、マイクロソフトなどの大手テック企業は、現在、量子コンピューティングの研究開発に相当な力を注いでいる。量子コンピューティングのスタートアップ企業も数多く誕生しており、中には驚異的な企業評価額を誇る企業もある。例えば、量子コンピューティングのスタートアップであるアイオンQ(IonQ)は、特別目的買収会社(SPAC)を通じて2021年10月に上場した際、20億ドルの評価を受けた。こうした商業活動の多くが、ここ3年間、困惑するようなスピードで起きている。

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私は、量子コンピューティングに大いに賛成する立場だ。これまでに量子コンピューティングをテーマに100以上の技術論文を発表しており、私の博士課程生や博士研究員の多くが、今では世界中で量子コンピューティングの実務家として知られている。しかし、最近目にする量子コンピューティングの誇大広告、特に量子コンピューティングの実用化に関する主張の一部には違和感を覚える。

確立された量子コンピューターの応用例が実際に存在することは確かだ。最もよく知られているのは、ピーター・ショアによる、大数の素因数を求めるという難問を、量子コンピューターが古典的な方式よりも指数関数的に速く解くことができるという1994年の理論的実証である。素因数分解は、世界的に使われているRSA暗号を解読するための核心的な技術であり、ショアの素因数分解方式は、直ちに各国政府の注目を浴びた。その結果、量子コンピューティングの研究に巨額の研究資金があてられることにつながった。

唯一の課題は何か? それは実際に可能とする量子コンピューターを作ることだ。このことは、ショアらが先駆けた「量子誤り訂正」と呼ばれるアイデアの実現にかかっている。「量子誤り訂正」とは、量子状態が環境ノイズによってすぐに消滅してしまうこと(デコヒーレンスと呼ばれる現象)を補正するためのプロセスであり、ショアらが先駆的に開発したアイデアである。1994年当時の研究者らは、このような誤りの訂正は物理学的に可能なのだから、簡単にできるだろうと考えていた。しかし、実際には極めて困難だ。

現在の最先端の量子コンピューターは、数十個のデコヒーレントな(あるいは「ノイズの多い」)物理キュービットを搭載している。このような部品からRSA暗号を解読する量子コンピューターを作るには、数十億とは言わないまでも数百万個のキュービットが必要になる。このうち、実際に計算に使われるのは数万個の論理キュービットだけであり、残りは誤り訂正やデコヒーレンスの埋め合わせに使われる。

現在のキュービット・システムは、科学的には非常に大きな成果であるものの、誰もが関心を持つような問題を解決できる量子コンピューターの実現にはまだ程遠い。これは、1900年代初頭の真空管を使って、現在の最高峰のスマホを作ろうとするようなものだ。100本の真空管を並べて、100億本の真空管をどうにかして繋ぎ合わせてうまく動作させることができれば、あらゆる奇跡を起こすことができるという原理を確立することができるだろう。しかし、そこに欠けているのは、スマホ …

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