新型コロナ、パンデミックから2年——世界に日常は戻ってきたか?
パンデミックが始まってから2年が経った。事態は好転しつつあるが、それでもなお、新型コロナウイルスのパンデミックは終わっていない。 by Charlotte Jee2022.03.14
2022年3月11日、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを宣言してから2年が経った。この間、ロックダウン(都市封鎖)やワクチン、ウイルスとの共生など、さまざまな議論がなされ、数字やデータ、公式には600万人超とされる多くの死者の追悼を通じて、私たちはパンデミックと向き合ってきた。
600万という数字は、大幅に過小評価されている可能性がある。英医学誌「ランセット」に3月10日に掲載された研究では、新型コロナ関連の実際の死者数はこの3倍に当たる1820万人と推定されている。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は節目にあたるこの日、「報告されている症例数と死者数は世界的に減少しており、制限が解除されている国もいくつかありますが、パンデミックはまだ終わっていません。世界中で終わるまでは、終わることはありません」との声明を出し、警戒を促した。
確かに、世界にはすでに峠を越したように見える地域もある。新型コロナ・ワクチンは全世界で100億回以上接種され、死者を大幅に減らした。感染力の高いオミクロン株によって膨大な数の新規感染者を出した後、米国ではようやく感染者数が減少を始めている。
だが、ワクチンの配布状況には大きな地域格差が存在し、不平等なままだ。世界の富裕国の多くでは国民のほとんどがワクチン接種とブースター接種を完了しているが、貧困国でははるかに遅れている。アフリカの広範囲では、1回目のワクチン接種さえ受けていない人がほとんどだ。一部の国、特にアジアではいまだに膨大な数の感染者が発生し、増加している国もある。香港は現在、厳しい状況にある。
つまり、油断は許されないのだ。新型コロナウイルスがいまだ広範に蔓延している中、危険な変異株が新たに出現するリスクは今でも極めて現実的だ。
そして2年が経った現在も、新型コロナウイルスがどこで、なぜ発生したのかは明らかになっていない。科学者たちは今も決定的な手がかりを探している。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。