脳インプラントが身体障がい者の生活をどう改善するかの研究成果はほろ苦い。
全身麻痺の人がロボット・アームでコーヒーをぐいぐい飲めたり、目が見えない人が光の点を「見える」ようになったりする脳インプラントの実験は、コンピューターと脳との相互作用という大きな可能性を示してきた。しかし、この種の治験で脳に埋め込まれた電極は、やがて傷口を修復する組織が形成されて脳細胞との電気接合が弱くなり、効果がなくなってしまうのだ(“The Thought Experiment”参照)。
来月、猿を使った新型脳インプラント装置の実験が始まる。時間経過による機能低下の問題に対処した新装置で、脳にデータを送り込む実験だ。プロジェクトの最終目標は、目が見えない人の視覚を長期的に回復させる装置の開発だ。
この実験では、ハーバード大学医学大学院の研究者グループが開発した新型脳インプラントを頭蓋骨の下に埋め込むが、脳組織内部までは入り込まず、脳の表層部にとどまる。毛髪状の装置内部に並んだ超小型コイルが強力かつ極めて局所的な磁場を生じさせ、装置の下部に位置する脳組 …