「テクノロジーによる計測でごみ問題を解決」ピリカ 小嶌不二夫
MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、ピリカの小嶌不二夫氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2022.01.11
MITテクノロジーレビューは2021年12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。
その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。
小嶌不二夫(ピリカ)
私たちのチャレンジは、ごみの自然界流出問題を解決することです。理論上は、地球上に流出する以上のごみが回収される状況を作れば、ごみは勝手に減っていきます。そこで、ごみの流出量と回収量が計測できるテクノロジーを作って世界中に普及させれば、ごみの自然界流出問題が解決できると思いました。これは全然尖ったアイデアではないし、当たり前のことだと思っています。
私たちはそのために、さまざまなプロダクトを作っています。その1つが、ごみ拾いボランティアのためのツイッターのような、「ピリカ」というSNSのプロダクトです。ピリカは無料のスマートフォン・アプリであり、いろんな人が拾ったごみを写真に撮って共有します。現在、このサービスは世界111カ国で使われ、累計2億個のごみを回収しています。ごみの流出量の計測では、スマートフォンを車に設置して路上にあるごみのデータを収集するなど、地球規模でごみ流出のアメダスのようなものを作っています。川や海に関しては、小型の調査装置を作っていろんなところに沈めて調査しています。
最近では、サッカーグラウンドから大量の人工芝の破片が流出していることが分かり、企業と連携してそれを回収するフィルターを作ったり、流出した人工芝を使ったプロダクトなども作ったりしています。現在、国連環境計画のような強力なパートナーも得て、世界中にこういった動きが広まっていけば問題解決につながると考えています。
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- 元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
- サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。