KADOKAWA Technology Review
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「実用的なエラー抑制で、量子技術が作る未来を叶えたい」NTT 遠藤 傑
SHINSUKE SUGINO
IU35 Japan Summit 2021: Suguru Endo

「実用的なエラー抑制で、量子技術が作る未来を叶えたい」NTT 遠藤 傑

MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、NTTコンピュータ&データサイエンス研究所の遠藤 傑氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2022.01.06

MITテクノロジーレビューは2021年12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。

その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。

遠藤 傑(NTTコンピュータ&データサイエンス研究所)

量子技術は、膨大な計算能力によってAI社会を支えたり、超高精度センサーの実現や科学計算シミュレーションの高速化によって、環境に優しいエネルギー材料を生み出したります。さらに、創薬研究を加速化させて難病治療に繋がったりなど、さまざまな未来を実現するでしょう。しかしながら、量子コンピューターの計算エラーは、これらをすべて台なしにします。

現在の量子コンピューターは、計算エラーが大き過ぎるといった課題があります。しかし、計算が苦手な子どもでも宇宙を夢見る想像力を持っているように、量子コンピューターは社会を変える無限の可能性を秘めているのです。私は、量子コンピューターの計算エラーを抑える技術「量子エラー抑制法」を研究しています。量子超越の領域で、60%のエラー率を0.2%まで下げられる実用的な方法を提案し、量子コンピューターの応用として考えられる機械学習や化学計算の橋渡しを行うことができました。

量子コンピューターの開発がさらに進んでいくと、究極のゴールである「万能量子計算」にたどり着くことが考えられます。私は初期の万能量子計算において、量子エラー抑制法によって必要な量子ビット数を80%削減できることを示しました。今後も研究を続けていき、未来を実現するために努力していきたいと考えています。

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元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。
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