「機械化で報道産業のイノベーションに挑む」JX通信社 米重克洋
MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、JX通信社 米重克洋氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2021.12.27
MITテクノロジーレビューは12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。
その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。
米重克洋(JX通信社)
デマやフェイクニュースは分断を引き起こすだけではなく、人の健康や命を直接脅かすようになってきている。私たちはコロナ禍でこのことを学びました。今ほど、報道やジャーナリズムがその役割を問われている時はないと思います。一方で、既存のジャーナリズムは今存続の危機に直面しています。高コスト体質である上に、デジタル化の遅れによってサイトの滞在時間は短く、競争力に投資をする余力も失ってしまう負のスパイラルに直面しています。
JX通信社は記者のいないエンジニア中心の報道ベンチャーとして、報道産業のイノベーションにチャレンジしています。ジャーナリズムの分野にテクノロジーを持ち込み、報道を機械化することで正確な情報を低コストでより早く多く届けることを目指しています。これによって、ビッグデータから1億総カメラマンの目で災害や事故事件などの情報をあぶり出し、取材を効率化しました。また、これまで埋もれていた、地方の災害状況や被害、交通事故の状況なども多様に報道されるようになってきました。
新型コロナウイルスに関しては、ビッグデータから感染情報を収集し、地域的な感染対策の必要性などを明らかにする研究などにも貢献しています。報道ジャーナリズムが、情報のライフラインとして果たすべき役割がますます大きくなっている中、私たちは今後もイノベーションを通じて、負のスパイラルを正のスパイラルに変える社会課題解決に寄与したいと思います。
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- 元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
- サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。