「ロボットに人間のような触覚を与える」モーションリブ 溝口貴弘
MITテクノロジーレビュー主催の「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」から、モーションリブ 溝口貴弘氏のプレゼンテーションの内容を要約して紹介する。 by Koichi Motoda2021.12.27
MITテクノロジーレビューは12月16日、「Innovators Under 35 Japan Summit 2021」を開催した。Innovators Under 35は、世界的な課題解決に取り組む若きイノベーターの発掘、支援を目的とするアワード。昨年に続き2 回目の開催となる本年度は、35歳未満の起業家や研究者、活動家など15名のイノベーターを選出した。
その受賞者が集う本サミットでは、各受賞者が自らの取り組みへ対する思いや、今後の抱負を3分間で語った。プレゼンテーションの内容を要約して紹介する。
溝口貴弘(モーションリブ)
何でもできるという印象があるロボットですが、実はまだ開発中の技術がたくさんあります。特に、モノに触れるという技術はロボットにはできないことが多いのです。それは、ロボットがものの感触を認識する、そして認識した感触にもとづいて自分の動きを制御する機能がないからです。これからのロボット活用には、人間の代わりにさまざまな作業をこなしてくれることに期待されていますが、こういった機能がないことが障壁となっています。
この問題を解決するのが、ロボットに触覚を与え人間のように動けるようにする「リアルハプティクス」技術です。モーションリブでは、すでにリアルハプティクスをさまざま分野の企業に提供していますが、そこには「ロボットを賢くする」と「人間の能力を高める」という大きく2つの使い方があります。前者では、人間から抽出したデータを使うことで、これまで難しかった農作業や製造工程における精密作業をロボットで自動化します。後者では、計測した感触や動きを遠隔地に伝えることで、例えば宇宙空間などでも遠隔からロボットに繊細な作業が指示できます。
リアルハプティクスは、人間のスキルや熟練動作、職人芸をデータとして有形化できます。これまで、他者との共有が難しかったこのようなデータを共有し、販売も可能になります。
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- 元田光一 [Koichi Motoda]日本版 ライター
- サイエンスライター。日本ソフトバンク(現ソフトバンク)でソフトウェアのマニュアル制作に携わった後、理工学系出版社オーム社にて書籍の編集、月刊誌の取材・執筆の経験を積む。現在、ICTからエレクトロニクス、AI、ロボット、地球環境、素粒子物理学まで、幅広い分野で「難しい専門知識をだれでもが理解できるように解説するエキスパート」として活躍。