2017年末の数週間、南アフリカのケープタウンでは、多くの住民が昼夜を問わず行列を成して、街の数少ない天然の泉から湧く水を古い水差しに汲んでいた。明らかな不安が空気に漂っていた。異常に長い干ばつを通して何カ月間も警告が発せられていた通りに、ケープタウンは、世界の大都市としては初めて水不足に陥ろうとしていたのだ。淡水ダムの水位は25%を下回り、さらに低下を続けていた。ダムの貯水量が容量の13.5%まで低下すると、市の水道網が停止し、何百万人もの住民が厳しい給水制限の影響を受けることになる。
実際には、ダムの貯水量が「デイ・ゼロ」と呼ばれる13.5%の水準に落ちることはなかった。市は給水制限に踏み切り、水道料金を値上げし、14億ランド(約8600万ドル)の干ばつ関連予算の大半を費やして海水淡水化プラント3基を緊急で建設し、必要最低限の水の供給を確保した。また、住民らも独自の対策を取って、天然の泉から水を集めたり、可能であれば雨水集水システムを設置したりした。
4カ月後、雨は戻り、ダムの水位も上がった。しかし、デイ・ゼロはいまだ街に影を落としている。ケープタウン大学のケビン・ウィンター講師(環境地理学)は、「ケープタウンの市民は、干ばつと水不足の可能性による恐怖を忘れていません」と語る。
ウィンターによると、デイ・ゼロが市民の記憶に残り、市内の1日当たり平均水使用量は7〜8億リットルに抑えられ、2014年の約半分になっているという。しかし、水の使用量が低水準を維持しても、次の干ばつをこうした取り組 …