コロナ禍の不平等を調べるジャーナリスト4人をMITTRが支援
MITテクノロジーレビューは今春、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで露わになった不平等問題に焦点を当てたジャーナリズムを支援するフェローシップ制度を発表した。その採用者のプロフィールを紹介する。 by Bobbie Johnson2021.11.18
MITテクノロジーレビューは2021年春、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおける不平等問題に対処するために、テクノロジーやデータを用いたさまざまな方法の調査に焦点を当てたフェローシップ(報奨金)制度を発表した。
私たちは、カリフォルニア州ロスアルトスとサンフランシスコに拠点を置くファミリー財団「ハイジング・サイモンズ財団(Heising-Simons Foundation)」の協力を得て、軽視されがちなコミュニティに対して新型コロナがもたらした体系的・技術的な側面と課題に対して深い見識を持ち、思慮深く報告できるジャーナリストを募集した。同財団は、気候変動やクリーンエネルギー、コミュニティや機会、教育、基本的人権や科学といったテーマを調査するプロジェクトを支援している。各フェローは調査・研究のために少なくとも7500ドルを受領し、世界最古のテクノロジー・メディアであるMITテクノロジーレビューに記事を掲載する機会を得ることになる。
以下に、フェローとして選出されたジャーナリストを発表する。
ラヴォン・ロバーツ
科学、健康、テクノロジーを専門とするニューヨーク出身のフリージャーナリスト。医療従事者のための、没入型のハイテク「リフレッシュ・ルーム」の導入について執筆する。現在、同ルームのパイロットプログラムは、医師から最前線で働く他の医療従事者にまで拡大している。ロバーツの取り組みは、明白なインパクトと説得力のある簡潔さで突出していた、と審査員は評価している。
イレイン・シェリー
ジョージア州に拠点を置くフリーライター兼ドキュメンタリー作品製作者。長期間におよぶコロナ禍がアフリカ系米国人に与える影響を研究しており、新型コロナ感染症とその文化的影響についてよりよく理解する方法についても探求している。審査員は、シェリーの調査が新型コロナに関する現在の報道において欠落している部分を埋め合わせる可能性があると考えている。「黒人女性の生活と、長期にわたる新型コロナ感染症の自身の経験に焦点を当てるイレイン・シェリーの調査報告は、慢性疾患や医療における人種差別、黒人女性蔑視といった重畳的な苦しみにも光を当てることになるだろう」(審査員)。
チャンドラ・ウィットフィールド
コロラド州出身のライター兼マルチメディア・ジャーナリスト。ウィットフィールドは、パンデミック期における家庭内暴力が特に黒人女性に与えた影響と、関連データの収集方法について調査する。審査員は、ウィットフィールドが「公共政策の重要課題を特定」し、「目的意識と危機感を持って」提案書を作成したと評した。
そして、MITテクノロジーレビューのニュース編集室のフェローシップは、モンタナ州の『ミズーリアン(Missoulian)』紙にで環境・科学分野を担当するロブ・チャニーに贈られる。ロブと同僚らは、モンタナ州の先住民コミュニティ、特にブラックフィート・インディアン(Blackfeet Reservation)特別保留地に対する新型コロナ対応と、急増した連邦政府による経済支援の結果を調査してきた。ロブの提案は、当分野において際立っていることで審査員は合意した。
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応募者の審査をしたのは、喫緊の課題に精通した経験豊かなジャーナリストや研究者から成る以下のメンバー。KQED公共放送の「フォーラム」の共同司会を務めるアレクシス・マドリガル。ヴァンダービルト大学の遺伝学者で「ネイティブ・バイオデータ・コンソーシアム(Native BioData Consortium)」の役員でもあるクリスタル・ツォシー。経験豊かな調査ジャーナリストで、サンディエゴの非営利ニュース編集室『アイニュソース(Inewsource)』の編集長を務めるマーク・ローチェスター。そして、ジャーナリスト兼医師で、「スタンフォード・ヘルスコミュニケーション・イニシアチブ(Stanford Health Communication Initiative)」の所長でもあるシーマ・ヤスミンである。
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- ボビー・ジョンソン [Bobbie Johnson]米国版 上級編集者
- サンフランシスコを拠点に、主に特集と紙の雑誌の編集を担当しています。前職は、数々の受賞歴があるオンライン・マガジン「マター(Matter)」の共同創設者。ガーディアン紙ではテクノロジー記者と編集者を務めていました。