米国の宇宙科学10カ年計画、居住可能な惑星など優先事項に
ビジネス・インパクト

The latest decadal survey sets a new course for US astronomy 米国の宇宙科学10カ年計画、居住可能な惑星など優先事項に

全米アカデミーズは11月4日、「天文学・天体物理学の10カ年計画」の報告書を発表した。科学的優先事項として、居住可能な太陽系外惑星、ブラックホール、銀河の起源と進化を挙げている。 by Tatyana Woodall2021.11.08

10年ごとに、米国の天文学者や天体物理学者は、向こう10年間の天文学・天体物理学研究の指針となる新しい報告書を発表している。11月4日、全米アカデミーズ(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine)は最新の報告書を発表し、現代の宇宙探査の新たな道筋を示した。

「アストロ2020(Astro2020)」と名付けられたこの10年計画の調査報告書は、何百編ものホワトペーパーと13以上の分科会による数年間の検討をもとにまとめられた。600ページに及ぶこの報告書は、今後10年間の科学的な優先事項として3つの項目を挙げ、米国が2つの主要プロジェクトに投資することを提言している。巨大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope)と30メートル望遠鏡(Thirty Meter Telescope)だ。報告書では、米国政府による大規模な投資がなければ、両プロジェクトは失敗する可能性が高いとしているが、新たな投資がどの程度必要なのかについては言及していない。

報告書作成委員会の委員を務めたルイジアナ州立大学のガブリエラ・ゴンザレス教授(物理学・天文学)は、コストとコミュニティ支援の両方を考慮した、実現可能な計画を提示していると述べている。

押さえておくべき重要ポイントは以下のとおりだ。

3つの重要な科学的優先事項

多くの専門家は、太陽系外惑星系への当初の関心がすぐには衰えないことを知って喜ぶだろう。今年の報告書で発表された3つの重要な科学的優先事項の1つは、太陽系外にある地球型惑星の特定と特徴づけだ。

太陽系外惑星は20年以上にわたって人気の議題となっているが、今回の新たな取り組みでは、特に居住可能な惑星を探すことに重点が置かれている。地球上の生命は、惑星の大気を根本的に変化させてきた。研究者たちは、他の惑星が複雑な生命をはぐくむための適切な要素を発達させているかどうかを判断するために、他の場所で同じような兆候がないかを調べたいと考えている。

今後、天文学者は、光が物質との相互作用で吸収・放出される様子を調べる分光法を用いて、大型で高温の惑星の大気を調査し、バイオシ …

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