インドが「排出ゼロ宣言国」に正式に仲間入りした。2070年という達成期限は少々厳しいかもしれないが、インドにとっては妥当と言えるだろう。この目標は、ナレンドラ・モディ首相が11月1日に国連気候会議「COP26」で発表した。
期限までは数十年の余裕があり、他の多くの国が掲げている2050年よりも遅い。しかし、世界最速の成長を見せている国の1つが意欲的かつ有意義な目標を掲げた、と専門家たちは評価している。はるかに長い間、はるかに広い範囲で汚染を広げてきた米国などの富裕国が、インドなどの途上国の気候目標の支援を強化する番がやってきたのだ。
インドは現在、世界第3位の排出国となっている。しかしながら、世界の全人口の17%が住んでいるため、国民1人当たりの排出量は世界平均の半分に満たない。他の排出大国に比べるとはるかに少ないのだ。また、いまだに電気を使えない国民も数千万人いる。
これまでの歴史的な記録を考慮すると、世界の累積二酸化炭素排出量のうち、インドが占める割合は5%未満だ(米国の割合は20%で、世界トップ)。「CO2の量を公平に割り当てるのであれば、インドは真の英雄と見なされるでしょう」。ニューデリーにある社会・経済発展センター(Center for Social and Economic Progress)のラーフル・トンジャ上級研究員は言う。
そうは言っても、モディ首相の宣言は一部の研究者にとって嬉しい驚きだった、と語るのは、世界資源研究所インド(World Resources Institute India)のウルカ・ケルカー気候部長(経済学者)である。今回の目標は、前回から「明確に改善し …