マイクロソフトと学術界で過ごしながら、ジェニファー・チェイス博士はデータ科学とコンピューティングを活用して人工知能(AI)をより公正でバイアスの少ないものにするために戦ってきた。
15歳で学校を中退し、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)でデータ科学の第一人者になるまで、チェイス博士は大変なキャリアパスを歩んできた。1987年、チェイス博士は終身在職権を持つ数学教授としてカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に勤務するようになった。その10年後、チェイス博士はマイクロソフト・リサーチの学際的な理論グループ(Theory Group)の共同設立に誘われた。
マイクロソフトの顔認識ソフトウェアにバイアスが存在することが発見されたのは、チェイス博士が在籍したニューヨークのマイクロソフト研究所でのことだった。同社のシステムは有色人種や黒人の顔よりも、白人の顔をより正確に分類することが判明したのだ。この発見により、マイクロソフトは警察との契約を取り下げ、アルゴリズムからバイアスを取り除くことに取り組み始めた。AIにおける「公平性(Fairness)」「説明責任(Accountability)」「透明性(Transparency)」「倫理(Ethics)」を意味する「FATE」グループが、マイクロソフトの研究所に創設されたのだ。
チェイス博士は現在、UCバークレー情報大学院の教授および学部長を務め、コンピューティング/データ科学/社会学の副学長となっている。データ科学はコンピューティングやその他の分野をどのように変えているのだろうか。科学ジャーナリストのアニル・アナンサスワーミーがチェイス博士に尋ねた。
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——学術界から産業界へ移ったとき、どう感じましたか?
かなりショックを受けました。マイクロソフト・リサーチのダン・リン副社長から電話がかかってきて、面接を受けるよう説得されたのです。私はリン副社長と40分近く話し、最後にこう言いました。「私が何に迷惑しているか、本当に知りたいのですか? マイクロソフトは思春期の少年の集団です。私は思春期の少年の集団と人生を過ごしたくはありません」。
——リン副社長の反応はどうでしたか?
彼はこう言いました。 …