大気中からメタンを取り除くことで、今後数十年にわたって地球温暖化を遅らせることができる可能性がある。だが、それが本当に実現可能なのかどうか、研究者は依然として解明を試みている段階にある。
強力な温室効果ガスであるメタンは、天然ガスの採掘や農業などの人間活動によって、大気中濃度が産業革命前の2倍以上になっている。メタンの一部を大気中から除去したり、そもそも排出されないようにしたりするだけでは気候変動を止められないが、それでもメタン除去は今世紀における温暖化の最悪の影響を防ぐのに寄与する可能性がある。
9月27日に公開された新しい論文によると、大気中のメタンを40%削減することで、2050年までに温暖化を0.4℃抑えられるという。同日に公開された別の論文で、研究者らは可能性のあるアプローチの概略を示した計画を発表し、これまでほとんど研究室内に留まっていたメタン除去技術の研究をさらに進めるよう呼びかけている。
スタンフォード大学の研究者で、両研究論文の共著者であるロブ・ジャクソン教授は、「今後数十年間のピーク時の気温を下げるために、メタン除去以上に効果がある対策はないでしょう」と述べている。
メタンは温室効果ガスとしては比較的希少な物質で、例えばメタンの大気中の濃度は二酸化炭素の約200分の1だ。とはいえ、国連の気候変動に関する政府間パネル(ICPP:Intergovernmental Panel on Climate Change)が発表した最新の報告書によると、メタンはこれまでの地球温暖化による平均気温上昇の約30%、す …