公民権団体は長年、米国司法省が中国系科学者たちに対して、故意に有色人種に対象を絞って捜査する人種的プロファイリングを実施していると批判してきた。9月21日に発表された新しい報告書では、その主張のいくらかを裏付ける可能性があるデータが提示されている。
主要な中国系米国人の市民団体の指導者らからなる「百人会(Committee of 100)」が発表した報告書によると、中国出身の個人は経済スパイ活動法(Economic Espionage Act)のもとで訴追される可能性が他の人種よりも高い一方、有罪判決を受ける可能性は他の人種と比べて著しく低いことが分かった。
「この報告書で明らかにしたい基本的な疑問は、アジア系米国人はスパイ活動容疑において、他の人種と比べて扱われ方が違うのかどうかということです」。報告書を執筆した南部テキサス法科大学(South Texas College of Law Houston)のアンドリュー・C・キム客員研究員(弁護士)は言う。「答えは、そのとおりです」。
今回の調査では、1996年から2020年の間に米国が起こした経済スパイ活動の訴訟に関するデータを分析。全被告の半数弱が中国に利益をもたらす秘密を盗んだとして訴えられていたことが分かった。米司法省が最重要視している「チャイナ・イニシアチブ(China Initiative)」を正当化するために米国当局が提示したよりもはるかに低い数字だ。チャイナ・イニシアチブは、中国政府とつながりのある経済スパイをあぶり出し、刑事訴追することで、スパイ行為の阻止を目指す複数の連邦機関にまたがるプログラムである。
報告書によると、経済スパイ活動法のもとで訴追された被告の46%は中国の個人や法人などの利益となる活動をした罪に問われる一方で、被告の42%は米国企業の利益となる秘密を盗んだとして訴えられていたという。
この数字は、経済スパイ活動に対抗するために2018年に開始されたチャイナ・イニシアチブに関する司法省の発言の多くに真っ向から反している。チャイナ・イニシアチブについてのWebページの第一文に記載されているように、起訴の80%は中国国家の利益となるものであると司法省は公言している。2020年に米国連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ長官が言い表したところの、「人類史上最大級の富の移動を代表するほど大規模な窃盗」を念頭に置いてのことだ。
2019年以降、チャイナ・イニシアチブは学術研究者を主にターゲットとしてきた。
「証拠に乏しい訴追があることを示す強力な証拠」
百人会の報告書は、1996年から2020年までに経済スパイ活動法に基づくすべての起訴に関する裁判所の公式記録と司法省のプレスリリースの分析を根拠としている。これは、以前に「カードーゾ・ロー・レビュー(Cardozo Law Review)」に掲載された、2016年までの期間を対象とした分析を更新したものである。
分析の対象には「企業秘密の窃盗」と「経済スパイ活動」に対する訴追が含まれており、このうち「経済スパイ活動」に対するものは「外国との結びつき」の証拠が必要で、より厳しい処罰の対象となる。もっとも、これら2つのカテゴリーに属する訴追はチャイナ・イニシアチブのもとで実施されたものののほんの一部に過ぎない。キム研究員によると、「虚偽の証言と裁判の過程における犯罪」についても短く触れており、補助金詐 …