米国政府監査院(GAO)が8月24日に公表した90ページの報告書は、連邦政府機関が現在、顔認識システムをどれほど利用し、利用範囲を拡大しようとしているかを詳細に伝えている。調査対象となった24機関のうち10機関が、2023年までに顔認識テクノロジーの利用拡大を計画しており、研究開発に投資していることが明らかになった。
この報告書は、議会の要請に基づき、2020会計年度の連邦政府機関における顔認識システムの利用について調査した結果をまとめたもの。顔認識テクノロジーの利用は「ますます一般的に」なっており、調査対象となったほとんどの機関はサイバーセキュリティ対策、国内法の執行、または物理的セキュリティの保護のために使用しているという。調査に参加したすべての機関に対して、顔認識システムを将来利用する予定についても尋ねている。
今回の報告書は、警察や政府による顔認識テクノロジーの使用に対し、プライバシー/人権擁護団体からの反発が起きた1年後に発表された。顔認識システムは、肌の色が濃い人、女性、若者や高齢者の認識精度が低いことがわかっている。6月にGAOが発表した別の報告書でも、顔認識テクノロジーを使用する連邦法執行機関の監督不足が指摘された。
現在、調査対象の24の連邦機関のうち18の機関が何らかの顔認識テクノロジーを使用しており、多くの機関が2つ以上のシステムを保有している。顔認識システムを利用していても今回の調査対象外となっている連邦政府機関もあり、政府による顔認識テクノロジーの利用について包括的な調査はまだ存在しない。調査対象の機関が使用しているのはほとんどが連邦政府所有のシステムだが、そのうち6つのシステムはクリアビューAI(Clearview AI)、ヴィジラント・ソリューションズ(Vigilant Solutions)、アキュエント・フェイスID(Acuant FaceID)といった商業ベンダーが提供している。
米国の農務省、商務省、国防総省、国土安全保障省、保健福祉省、内務省、司法省、国務省、財務省、退役軍人省は、2020~2023年の間に顔認識システムの使用範囲を拡大する予定だ。この10機関は17種類の顔認識システムを導入を進 …