過去20年間に何百万枚もの太陽光パネルが設置された。太陽光パネルの寿命は一般に25〜30年だ。多くのパネルは間もなく廃棄時期を迎え、おそらく埋め立て地に送られることになる。しかし、太陽光パネルのリサイクルを目指す新たな取り組みによって、パネルの廃棄量と新たに採掘する必要がある材料の両方を削減できるかもしれない。
米国でリサイクルされている太陽光パネルはおよそ10パーセントに過ぎない。太陽光パネル機器のリサイクルについては現在、連邦政府による規制がなく、リサイクルするよりも単に廃棄する方がはるかに安上がりだからだ。しかし、毎年廃棄される太陽光パネルの材料は、金額にして2050年までに推定20億ドル相当になると言われている。フランスのスタートアップ企業「ロッシー・ソーラー(ROSI Solar)」などによる新しい取り組みでは、銀とシリコンを中心とした貴重な材料を回収し、太陽光パネルのリサイクルをより収益の上がるものに変えようとしている。
太陽光による発電量を拡大することは、世界的な二酸化炭素排出量削減の鍵となる。2019年に世界の太陽光パネルは、世界の発電量の約3パーセントにあたる720テラワット時のエネルギーを生産した。そのために使用された太陽光パネルは約4600万トンである。
世界中で廃棄処分される太陽光パネルは、2030年には約800万トン分になる可能性がある。2050年にはその数は8000万トンに達するかもしれない。このような使用済み太陽光パネルをリサイクルすることで、従来であれば危険で搾取的な労働環境下で採掘しなければならなかった材料を新たに調達することができ、クリーンエネルギーの実現を目指す上で、太陽光パネルが長い間有効な選択肢であり続けることができる。
太陽光パネルを構成する材料
太陽光パネルは、太陽電池セルを真ん中に挟んだサンドイッチ構造となっている。市販の太陽光パネルのおよそ90パーセントは、光を電気に変換する半導体にシリコンを使用している。各太陽電池セルのシリコン結晶の表面を細長い金属片(通常は銀)が交差し、電気をパネルの銅配線に送り込む。
太陽電池は通常、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene-vinyl Acetate)と呼ぶ透明なプラスチックの保護層に挟まれている。さらにその上に保護ガラスが重ねられ、背面側にはポリエチレンテレフタラート(PET:Polyethylene Terephthalate)などの別の種類のプラスチックが重ねられる。そして、アルミ製フレームが側面を囲む。
この層構造が太陽光を通しながら電池を風雨から守る。しかし、太陽光パネルが寿命を迎えたとき、この構造が解体を難しくする。
欧米は太陽光パネルのリサイクルを義務付ける方向に進む
一部の企業では、効率が低下した太陽光パネルを修理して再利用したり、少なくとも部品の一部を回収しようとしている。太陽光パネルを「リサイクル」するための最もシンプルで安上がりな方法は再利用で、最も処理が簡単で、最も高い価格で売ることができる。
「太陽光パネルの単価は55ドル程度ですが、中古パネルは22ドル程度で再販できるかもしれません。また、中古パネ …