2020年12月、ディープマインド(DeepMind)は、タンパク質の構造を予測する人工知能(AI)ツールである「アルファフォールド(AlphaFold) 」を使用して、生物学における50年越しの難問を解決し、生物学界を驚かせた。ロンドンに拠点を置く同社は7月15日に、アルファフォールドの全容を明らかにし、ソースコードを公開した。
今回、同社は、アルファフォールドを使用して、人体に存在するほぼすべてのタンパク質の形状を予測し、さらに、酵母、ミバエ、マウスなど、最も広く研究されている20種類の生物に存在する数十万ものタンパク質の形状も予測したと発表した。この飛躍的進歩により、世界中の生物学者が病気をより深く理解し、新薬を開発できるようになるかもしれない。
これまでのところ、このデータの宝庫には、新たに予測された35万個のタンパク質構造が格納されている。ディープマインドは、今後数カ月のうちに、さらに1億個以上のタンパク質の構造を予測し、公開する予定だという。これは科学的に知られているほぼすべてのタンパク質になる。
「タンパク質の折り畳みは、私が20年以上にわたって注目してきた問題です」と、ディープマインドの共同創業者であるデミス・ハサビスCEO(最高経営責任者)は述べる。「私たちにとって大きなプロジェクトでした。私たちがこれまでにした中で最も大きなプロジェクトです。そして、ある意味、最も刺激的なことです。なぜなら、AI以外の世界で最も大きな影響を与えるはずだからです」。
タンパク質はアミノ酸の長いリボンでできており、それらが複雑に絡み合って結び目を作っている。タンパク質の結び目の形を知ることで、そのタンパク質がどのような働きをするのかを解明できる。タンパク質の構造を知ることは、病気の仕組みを理解して新たな医薬品を開発したり、汚染公害や気候変動に取り組む上で役立つ生物を特定したりするためにも、非常に重要な …