KADOKAWA Technology Review
×
【冬割】 年間購読料20%オフキャンペーン実施中!
新たな冥王星探査ミッション候補「ペルセポネ」が重要な理由
NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute
宇宙 無料会員限定
Why NASA should visit Pluto again

新たな冥王星探査ミッション候補「ペルセポネ」が重要な理由

米国の科学者チームは、新たな冥王星探査ミッションである「ペルセポネ」をNASAに提案している。目標は、前回のニュー・ホライズンズの調査で上がった太陽系形成に関する疑問と、有機物がかつて地球の外で存在していたのかという疑問に取り組むことだ。 by Tatyana Woodall2021.07.23

1930年、25歳のアマチュア天文学者のクライド・トンボーは、小さな薄暗い天体を夜空に見つけた。

アリゾナ州フラッグスタッフのローウェル(Lowell)天文台に1年ほど勤務していたトンボーは当時、ブリンク・コンパレータと呼ばれる天体の観測と比較ができる特殊な測定装置を使い、太陽系の9番目の惑星と考えられていた冥王星の姿を捉えようとした。

一般的に、冥王星は変わった惑星と考えられており、一時期、天文学者たちは冥王星が火星より大きい可能性があると考えていた(これは事実とは異なる)。冥王星の独特な248年周期の公転軌道は、海王星の公転軌道と交差していることが知られている。現在、冥王星はカイパーベルト(編集部注:海王星の軌道よりも外側を周回する多数の小天体で構成される帯状の領域)で最大の天体と認識されているものの、もはや惑星とは見なされていない。

2006年、国際天文学連合(IAU:International Astronomical Union)は、冥王星を惑星から降格させることを採択し、惑星の定義を、太陽の周りを公転し、球体であり、「軌道上の他の天体を排除している」天体であることの三つとした。三つ目は、惑星は支配的な重力体であるため、軌道上で衛星以外に近接するものがないことを意味しており、冥王星はこの定義に該当しなかったため、準惑星とされた。

現在、新たなミッションが米国航空宇宙局(NASA)に提出され、冥王星とその近傍のさらなる探査が企てられている。2020年後半に提案された「ペルセポネ(Persephone)」ミッションは、冥王星に海があるか、またこの天体の地表と大気がどのように進化してきたかを探索するものだ(編注:ペルセポネはギリシャ神話において、冥界の神ハデス(ローマ神話のプルートーに相当)の妻である)。

ペルセポネ・ミッションでは、高解像度カメラを搭載した宇宙探査機を冥王星周回軌道に3年間乗せ、冥王星の地表と冥王星最大の衛星であるカロン(Charon)の地表の地図を作成する。

しかし、なぜ冥王星を探査す …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【冬割】実施中! 年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion Innovators Under 35 Japan × CROSS U 無料イベント「U35イノベーターと考える研究者のキャリア戦略」のご案内
  2. The 8 worst technology failures of 2024 MITTRが選ぶ、 2024年に「やらかした」 テクノロジー8選
  3. AI’s search for more energy is growing more urgent 生成AIの隠れた代償、激増するデータセンターの環境負荷
▼Promotion 冬割 年間購読料20%off
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る