1年前、パンデミックを抑えるためのワクチンは、遠い先の話のように思われていた。しかし、現在では、世界のほぼ4分の1の人々がワクチン接種を済ませている。ワクチン接種を受けたかどうかを証明するよう求められる人もいて、いわゆるワクチン・パスポートの出現につながった。こうした証明書の詳細は場所によって異なるが、基本的には同じだ。携帯電話(スマートフォン)に保存されたデジタルの健康記録が、その人が他人に対してリスクとならないことを証明するために使用されるのだ。
デジタル・ワクチン接種証明書の支持者は、利点は明らかであると言う。証明書は、ワクチン接種を奨励すると同時に、集会のリスクを軽減する。しかし、批評家は欠点と不都合な点を指摘している。ワクチン・パスポートを導入すれば、市民の自由を侵害し、ワクチン接種を受けられない人々を不当に罰し(そして接種を受けるつもりのない人々を差別し)、新たな形態の監視が始まり、不平等を根絶するどころか悪化させると言う。
意見の相違に直面し、政府はそれぞれ、非常に異なるアプローチをとっている。例えば欧州では、6月初めに7カ国が「デジタル・グリーン証明書」を発行し、さらに21カ国が近く参加する予定になっている。しかし、一部の国は反対の立場をとっており、そのような証明書類の使用を厳しく制限したり、開発さえも完全に禁止したりしている。
これらの議論に加えて、こうしたシステムがどのように使用されるかについて、まだ基本的な混乱がある。欧州連合(EU)のアプリのように国家間を移動するためのものもあれば、ニューヨーク州のアプリのようにレストランやイベントといった日常的な場所に入店・入場するためのものもある …
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