米国航空宇宙局(NASA)は、ジュノー(Juno)探査機がフライバイの間に撮影した木星最大の衛星、ガニメデ(Ganymede)の初の写真を公表した。
ジュノーは2021年6月7日に時速6万6800キロメートルで航行しながらガニメデ近傍を通過し、その表面からわずか約1000キロメートルにまで最接近した。2000年のガリレオ(Galileo)探査機以来、ガニメデに接近したどの探査機よりも近い距離だ。ジュノーカム(JunoCam)で撮影した上の画像は、ガニメデの半面のほぼ全体を、1ピクセル当たり1キロメートルの解像度で撮影したものだ。ステラ—・リファレンス・ユニット(Stellar Reference Unit)のカメラが撮影した別の画像も公表されており、こちらはガニメデの影の部分が木星自体に照らされている様子を示している。さらに多くの画像が、ここ数日のうちに公表されることになっている。
科学者がガニメデに特に関心を寄せているのにはいくつかの理由がある。ガニメデは、金属の核を持ち、自身の磁場を持つ太陽系で唯一の衛星なのだ(とはいっても巨大な木星が作る磁場にほとんど埋もれてしまうのだが)。
氷った地面の下には地下海があって、地球の全ての海を合わせたより多量の水を蓄えていると考えられている。大気は極めて薄いため、ガニメデに生命がいる可能性はかなり低いが、生命居住の可能性が完全に否定されたわけではない。
ジュノーは2016年8月に初めて木星に到達し、太陽系最大の惑星を調査しており、現在、快調に動作している。ジュノーのハードウエアは、木星が作る非常に強い放射線帯から保護するために特別に設計された。
ジュノーは今年の1月に、ガニメデのフライバイに始まる延長ミッションを開始した。次の目標は2022年のエウロパ(Europa)衛星で、続いて2024年にイオ(Io)衛星を2回フライバイする。その後、ジュノーは2025年9月に木星へ突入し、ミッションを正式に終了することになっている。