KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
米国でセミが17年ぶりの大量発生、観察報告アプリが人気に
Chip Somodevilla/Getty Images
人間とテクノロジー 無料会員限定
The Brood X cicadas are here — and yes, there’s an app for that

米国でセミが17年ぶりの大量発生、観察報告アプリが人気に

米国で17年に一度、大量発生するセミの観察を、スマホアプリを使用したクラウドソーシングで実施している研究者がいる。屋外での観察がパンデミック中の娯楽に適していることに加えて、親しみやすい市民科学活動であることから人気を博し、当初の目標を大幅に上回る報告が寄せられている。 by Tanya Basu2021.06.04

数週間前、ミッシェル・ワトソンは耳をつんざくような、絶え間なく振動する甲高い音で目を覚ました。「この音は一体何?」彼女は疑問に思った。

庭へと出ると、何百匹ものビーズのように目を輝かせた昆虫が、金色の厚い殻をまとって地面から現れ、木を這い上がっているのを目にした。ワトソンが目にしているのは、何千匹もの「ブルードX(Brood X:ブルード・テン)」というセミの出現。総勢何十億という昆虫の群れの一部だ。ブルード・テンの群れは、約3週間にわたっていたるところで、雷のような求愛行動の「金切り声」をあげるために出てくる。それまで17年間、地中に身を潜めていたのだ。

ワトソンは、過去20年間ラスベガスで過ごしていたが、昨年ジョージア州のブルーリッジ山脈に引っ越してきた。ワトソンは、米国東部の広大な地域に、一世代に一度現れるというそのセミについて、ソーシャルメディアに投稿されているのを見たことはあったが、それまでずっと耳にしてきたいつもの夏の虫だと思っていた。「『それがどうしたっていうの?』と思っていました」と彼女は言う。

しかし、奇妙な生き物の襲来に直面し、ワトソンは突然、「何がどうしたというのか」を理解した。そして、現代の人間であれば誰でもするであろうことをした。グーグルで検索したのだ。そして、数分のうちに、セミ追跡アプリ「シケイダ・サファリ(Cicada Safari)」をダウンロードした。

「アイ・ナチュラリスト(iNaturalist)」「ピクチャーディス(PictureThis)」「プランティン(PlantIn)」などのアプリは、パンデミック中の息抜きとして人気を博している。これらのアプリの多くは、デジタル資源としての機能を果たし、ユーザーは科学的研究のために写真や動画を投稿できる。これらのアプリの成功に触発され、マウント・セント・ジョゼフ大学の生物学教授であるジーン・クリツキーは、ブルード・テンを追跡する方法として、独自サービスのシケイダ・サファリを作った。

クラウドソーシングは、一世代に一度しか起こらないブルード・テン大量発生の情報を収集するために、これまでもずっと使われてきた、とクリツキー教授は言う。185 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る