ゴールドマン・サックス、
自動化でトレーダー大幅減
3割がエンジニアに
世界最大級の投資銀行ゴールドマン・サックスは金融取引の自動化を進め、全社員の3分の1がエンジニアになった。2000年には600人いたニューヨーク本社の株式トレーダーは、今では2人しかいない。 by Nanette Byrnes2017.02.08
ニューヨークにあるゴールドマン・サックス本社の米国株の取引部門には、最盛期の2000年に600人のトレーダーが在籍し、大口顧客の投資銀行の注文に応じ、株を売買していた。現在、この部門にはたった2人しか残っていない。
株式売買の自動化プログラムが、他のトレーダーの職を奪ったのだ。プログラムを支えるのは200人のコンピューター・エンジニアだ。ゴールドマン・サックスのマーティ・チャベス次席財務責任者(元最高情報責任者)は、経済活動へのコンピューティングの影響に関するシンポジウム(主催はハーバード大学応用計算科学研究所)で、株式売買の自動化をめぐる一部始終を説明した。
全世界の株式取引の頂点であるニューヨークでトレーダーがコンピューターに仕事を奪われたことは、ゴールドマン・サックスで起きた変化のごく初期の一例に過ぎない。ウォール街の他の証券会社も、取引のコンピューター化を手始めに、ここ5年で自動化を進めており、変化は以前なら人間の独擅場だった領域まで及びつつある。4月に最高財務責任者に就任するチャベス次席財務責任者は、為替等の取引業務、さらに投資銀行業務といった事業の一部も、株式の取引同様、自動化に向かっているという。
金融業界の動向を継続的に調査している英国企業コーリション(Coalition)によれば、現在、金融取引の45%近くが電子化されている。管理部門のスタッフだけではなく、ウォール街のコンピューターは、多くの高給取りの職まで置き換えているのだ。
コーリションによれば、ゴールドマン・サックス等の巨大グローバル投資銀行12行の営業や取引、アナリスト系従業員の平均報酬額は、給与とボーナス合わせて50万ドルだという。コーリションのムリ …
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