米国で高まる「顔認識」規制の気運、自主規制から近く法制化へ
アマゾンは米国での警察への顔認識ソフトの販売停止を無期限に延長した。大手テック企業は現在、警察に対する顔認識テクノロジーの提供を自主規制しているが、連邦法による規制の動きが加速している。 by Tate Ryan-Mosley2021.05.24
アマゾンは、顔認識ソフトウェアの警察への販売を恒久的に停止せよ——。アマゾンが約束した1年間の司法当局への顔認識ソフトウェアの販売一時停止の期限切れが迫る中、40の権利擁護団体が、同社のジェフ・ベゾスCEOとアンディ・ジャシー次期CEOに公開書簡を送った。
この書簡では、ジョージ・フロイドが殺害された後、昨年夏の人種間平等を求めて抗議活動をしていた「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」活動家に対するベゾスCEOとジャシーの支援の発言と、司法当局が抗議者を特定するためにアマゾン製品が使用されていたという報告を対比させている。
5月17日、アマゾンはレコグニションの販売の一時停止を無期限に延長し、IBMやマイクロソフトなどの競合他社とともに自主規制を続けると発表した。顔認識テクノロジーの使用を抑制するために戦っている団体の政治力に対して同意する動きであり、新たな立法上の戦場が出現し始めたことを示している。多くの人が、近く実質的な連邦法が登場する可能性が高いと考えている。
「人々は疲れ果てています」
この1年は、顔認識テクノロジーにとって極めて重要な1年だった。同テクノロジーによる誤認逮捕が発覚し、全米の20あまりの都市と7つの州で顔認識が禁止された。顔認識をめぐる情勢はここ数年で変わってきている。
2018年、人工知能(AI)研究者らは、IBM、マイクロソフト、フェイス・プラス・プラス(Face++)などの市販の顔認識ソフトウェアの正確さを比較した調査を発表した。その結果、顔認識テクノロジーは、肌の色が薄い男性と、肌の色が濃い女性の識別において、正確さに大きな隔たりがあることが判明した。IBMのシステムは、その2つのグループの間で、34.4%のエラー率という最悪のスコアを記録した。
2018年には、米国自由人権協会(ACLU:American Civil Liberties Union)がアマゾンのレコグニションを試験し、28人の議員が犯罪者に誤認されることを発見した。レコグニションが対象者の肌の色に過度に焦点を合わせていたためだ。同協会は、アマゾン宛てに独自の公開書簡を書き、連邦議会黒人議員幹部会が求めたのと同様に、政府がレコグニションを使用するのを禁止するよう求めた。アマゾンは何も対応しなかった。
しかし、2020年夏の警察による …
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