KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
人間とテクノロジー 無料会員限定
Why cities will come back stronger after covid

「ポスト・コロナ」の都市に人が戻ってくる理由

新型コロナのパンデミックで都市に住む意味が薄れ、移住が進むとの見方がある。しかし、インフラが整い、さまざまな人が集って刺激し合うことでイノベーションが生まれる都市の魅力が失われることはない。 by Andrew Giambrone2021.05.11

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)は、都市生活者に残酷な皮肉をもたらしている。野球の試合からオペラまで、人々のつながりや大人数での集まりを容易にするという、都市を活力に満ちたものにする性質が危険だというのなら、都市には一体どんな価値があるのだろうか?

Cities Issue
この記事はマガジン「Cities Issue」に収録されています。 マガジンの紹介

いわゆるポスト・コロナの世界における都市の未来を考える時、この疑問は核心的な懸念になる。少なくとも十分な数の人々がワクチンを接種し、コミュニティが集団免疫を獲得するまでは、社会的距離の確保、マスク着用、大人数での集会の制限が多くの地域で続くだろう。大部分の繁華街は活動を休止しており、オフィスや交通の要所に不要不急な労働者の姿はない。地方自治体の財政は税収減によって大打撃を受け、観光客や売上の減少は、公立学校や公衆衛生といった必須の都市サービス、あるいは暮らしを快適にする公園などの施設の予算縮小を意味する。

これに経済的困難が加われば、パンデミックの間は都市から逃げ出すのが賢明な選択のように思える。

米国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が最初に猛威を振るったのは、最大都市ニューヨークではなかったか? ニューヨークのような都市の人口密度こそが、高い感染力を持つウイルスのホット・スポットになるという避けがたい結果を招いたのではないか? 少なくとも中世以来、人々はエピデミック(局地的な流行)の間、本能的に地方へと逃げ出したのではなかったか?

実際には、都市生活は多くの人が思っているほど新型コロナ・リスクは高くないという研究結果もある。2020年6月、ジョンズ・ホプキンス大学とユタ大学の研究チームは、大都市圏の人口、社会経済要素、医療インフラを考慮した結果、米国の各州において人口密度と感染率に関連がないことを明らかにした。むしろ、旅行などによる郡間の移動の方が、ウイルスの蔓延や死者数により大きく影響している。昨年7月にドイツのIZA労働経済研究所が発表した研究でも、人口密度の高い地域ほど新型コロナウイルス感染症の発生が早い傾向にあったものの、人口密度と感染者数・死者数とに相関性はなかった。

別の言 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る