輪番停電が常態化する南ア、再エネ独自調達に動くケープタウン
南アフリカでは国営電力会社の設備老朽化により輪番停電が常態化している。ケープタウンなどのいくつかの都市は、再生可能エネルギー技術の進歩を追い風に、独自の電力供給体制を確立しようとしている。 by Joseph Dana2021.05.02
アフリカで最も工業化された国である南アフリカ共和国では、停電は生活の一部である。この10年間で、南アフリカの電力供給網はズタズタになり、信頼できる電力を供給できずにいた。再生可能エネルギーが安くなるにつれて、ケープタウンなどの南アフリカの都市は、独自の電力供給源を見つける権利を要求している。
- この記事はマガジン「Cities Issue」に収録されています。 マガジンの紹介
南アフリカの電力問題の主な原因は、老朽化した国営電力会社エスコム(Eskom)にある。最重要社会基盤の修理のために充てられた国費を、長年にわたって杜撰に管理した末に、エスコムの発電所はフル稼働できないことが当たり前となった。その結果、1日2時間から6時間続く輪番停電(計画停電)が発生している。停電は経済に悲惨な影響を与え、2019年の損失は40億ドルから80億ドルと見積もられている。
解決策を見つけようと必死のケープタウンは2019年に、独立系の再生可能エネルギー発電事業者から電力を独自に購入する計画を発表した。これが可能になったのは、コストの低下と、再生可能エネルギー技術の急激な進歩のおかげである。アマゾンは最近、南アフリカの自社のデータセンターに電力を供給するため、独自の太陽光発電所を建設することを発表した。これにより、国の送電網の停電の影響を受けずにいられる。企業にできることが、なぜ市にできないのだろうか。
その理由は、複雑に絡む規制と制約から抜け出せずにいるからだ。南アフリカでは、鉱物資源エネルギー省(The Ministry of Mineral Resources and Energy)が、南アフリカ国家エネルギー規制局(National Energy Regulator of Sourth Africa:NERSA)と協議して、国民がどこでエネルギーを入手し、エネルギーがどのように販売され、どの供給源を使用してエネルギーを生み出すかを決める独占的な権限を持っている。実際のところ、この仕組みにより、国有の電力供給業者である …
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