KADOKAWA Technology Review
×
ついに欧米で動き出した「AI規制」、相次ぐ発表で潮目は変わるか
Ms Tech | Unsplash
倫理/政策 無料会員限定
This has just become a big week for AI regulation

ついに欧米で動き出した「AI規制」、相次ぐ発表で潮目は変わるか

人工知能(AI)技術はこれまで、ほとんど規制されることなく、開発・展開されてきた。だが、風向きは変わりつつある。今週、欧州連合(EU)が新たなAI規則を明らかにしたほか、米国連邦取引委員会(FTC)が偏ったアルゴリズムを使用したり、販売したりしている企業に対して措置を講じる方針を発表したからだ。 by Will Douglas Heaven2021.04.23

人工知能(AI)の悪用についての、政府の押し戻しが大きい1週間となった。

4月21日、欧州連合(EU)は、長く待ち望まれていた一連のAI規制を発表した(初期の草案は先週リークされていた)。規制の内容は、大衆の監視や人々を操る目的でのAIの使用を制限するなど、広範囲にわたるものだ。

だが、4月19日にスタッフ弁護士のエリサ・ジルソンが短いブログ投稿で概略を述べた、米国連邦取引委員会(FTC)の意向声明書は、近い将来的にはEUのAI規制より効力を持つ可能性がある。投稿によると、FTCは偏ったアルゴリズムを使用したり、販売したりしている企業を追及するつもりだという。

「現在、多くの企業がビクビクしているでしょう」と、ワシントン大学でテクノロジーと法律を研究しているライアン・カロ教授は述べる。「この1つのブログ投稿だけではないのです。この1つのブログ投稿は、大きな変化に見えるものの、非常に明確な一つの例に過ぎません」。

https://twitter.com/rcalo/status/1384276880602238976

EUは、巨大テック企業に対する強硬路線で知られている。一方、FTCは、少なくとも近年は、EUよりもソフトなアプローチを取ってきた。FTCは、不公正で不正直な取引慣行を取り締まるための機関だ。権限の範囲は狭く、政府機関、銀行、または非営利団体に対する管轄権を持たない。しかし、企業が、自社で販売している製品の能力をゆがめて伝えている場合は介入できる。つまり、自社の顔認識システム、予測治安維持アルゴリズム、保健医療(ヘルスケア)ツールは偏っていないと主張する企業が、現在、銃口に晒されているわけだ。「FTCは、力を持つ場所では、とてつもない力を持っているのです」とカロ教授は言う。

措置を講じる

FTCは、常にその力を行使することをいとわなかったわけではない。1980年代や90年 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What’s on the table at this year’s UN climate conference トランプ再選ショック、開幕したCOP29の議論の行方は?
  2. This AI-generated Minecraft may represent the future of real-time video generation AIがリアルタイムで作り出す、驚きのマイクラ風生成動画
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る