KADOKAWA Technology Review
×
米政府の新型コロナシステム構築、「企業秘密」理由に黒塗り回答
Oliver Contreras/SIPA USA/AP Images
生物工学/医療 無料会員限定
US covid contract details are a “trade secret”—according to the contractors

米政府の新型コロナシステム構築、「企業秘密」理由に黒塗り回答

米国政府は、新型コロナのパンデミック対策のために投入した何十億ドルもの資金について透明性を確保していると主張しているが、実際に政府から資金を受け取っている企業は、法律の適用除外事由を利用して、旅費や人件費、さらには業務を請け負う資格についても非開示としている。 by Cat Ferguson2021.04.13

米国政府は、ワクチン開発から遺伝子配列の解析にいたるまで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの抑制を目的としたプロジェクトに数十億ドルの資金を投入している。政府関係者は資金の使用用途については透明性を確保していると主張しているものの、実際には情報を隠蔽する余地が大いにあることが、MITテクノロジーレビューによる最近の記録請求で明らかになった。

MITテクノロジーレビューは以前、4400万ドルが投じられた米国のワクチン管理システムが抱える問題について報じた。その後、私たちは、管理システムの基盤となるソフトウェア開発で、米国疾病予防管理センター(CDC)が随意契約した文書の開示を請求した。請負業者は大手コンサルティング企業のデロイトである。入手した記録では、同社のコストやプロジェクトに参加したメンバーの詳細、さらにはこの業務を請け負うのになぜデロイトが適任であるかという説明に至るまで、多くの情報が伏せられていた。

CDCがデロイトに発注したのは、医師がワクチンの在庫管理や接種報告するシステム。接種対象者向けのの接種予約、2回目接種のリマインダー、接種証明を送付するためのシステムが含まれている。

契約期限から数カ月後になってデロイトが納品したのは、セールスフォースの既存製品に手を加えた「ワクチン・クラウド(Vaccine Cloud)」というシステム。今年1月に報じたように、この製品は非常に使いづらく、ほんの一握りの州しか利用していない。

だが、情報自由法(Freedom of Information Act)に基づいて公開された文書では、デロイトが過 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Why the next energy race is for underground hydrogen 水素は「掘る」時代に? 地下水素は地球を救うか
  2. How a top Chinese AI model overcame US sanctions 米制裁で磨かれた中国AI「DeepSeek-R1」、逆説の革新
  3. This quantum computer built on server racks paves the way to bigger machines ザナドゥ、12量子ビットのサーバーラック型光量子コンピューター
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る