袋入りの野菜や果物をひとつずつをつかみ取れるロボットによって、完全に自動化された食品店や倉庫の実現がまた一歩近づいた。
ロボットは、自動車は上手に組み立てられても、何かを指示されたとおりにすればいいだけでない作業になると、依然ギクシャクしている。最近の進歩により、ロボットは雑然とした環境で、硬いモノなら拾えるようになったが、野菜や果物は形がさまざまで、袋の中で動くし、傷つきやすく、たとえば袋入りのバナナはまだ上手に持ち運べない。
イギリスのオンライン食品販売店オカドは、状況を変えようとしている。オカドはすでに高度に自動化された大規模食料品倉庫を何棟が運用中だ。オカドは4万8000点の商品を扱っているが、ロボットは商品の大きさや形、扱い方のすべてに対応できないため、結局、商品の全ては人間が棚から取り出している。
現在、いくつかの大学と協力して、オカドのロボットチームは、ロボット・アームの先に取り付けられた柔らかいグリッパー・ハンドで、リンゴや袋入りのライム等食品を丁寧につかめるように学習させている。オカド・テクノロジー(オカドの小会社)のアレックス・ボイカ広報課長は、装置は、握る行為全体を通して商品の形の変化に対応するので「グリッパー・ハンドは、何を持っているかに応じて、慎重に定められた動作」ができるという。
野菜や果物をなるべく傷つけないように、開発中のシステムは、モノのどこを指先で触れればいいのかを判断することで、人間の手のようにモノを掴めるように設計されている。
とはいえ、オカドには、出庫作業をロボットに任せる前に解決すべき問題がいくつかある。実験では、装置は平らな面に置かれている商品でなければ拾い上げられなかった。一方、実際の倉庫では、野菜や果物は運送用の木箱に入っていて積み重なっていることが多く。つかみ取ろうとすると野菜や果物の位置が変わってしまうことがある。ボイカ課長は、将来的にセンシング・システムを拡充したり、コンピューター・ビジョンの手法によって、そうした問題にロボットは対処できるという。
野菜や果物以外にも慎重に扱うべき商品はとても多い。自動化された食品倉庫の万能出庫ロボットは、ワイン・ボトルからクロワッサンまで、すべてを手早くしかも丁寧に扱わなければならない。そういた器用さは「解決するのが最も難しい課題ですね」とボイカ課長はいう。
それでもオカドは、システムを「近い将来」事業に組み込もうとしている。ロボットが強く掴みすぎて、バナナが黒ずまないといいのだが。
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