次にカスタマー・サポートに連絡すると、電話の向こう側にいる担当者は、感情を読み取るAIソフトにサポートされているかもしれない。
一部のコールセンターのオペレーターは、自身の発話や顧客との会話の性質を分析するソフトウェアよって、リアルタイムで指導されている。オペレーターの発話中、ソフトウェアがもっとゆっくり話すように、あるいは、途切れないように話すようにアドバイスしたり、電話をかけてきた相手が混乱しているようだ、と警告したりするのだ。
人間がAIに助けられて働く未来を予見させる好例だ。コールセンター等のバックオフィスでは、多くの日常業務が自動化されつつあるとはいえ、人間同士の会話は、今後も機械が入り込めない領域だと思われていた。この例から、自動化されないまでも、AIソフトウェアが助言機能によって、営業やサポート担当と顧客との会話に変化をもたらしうることがわかる。
コールセンター用ソフトウェアを開発したのは、コギト(本社ボストン)だ。コギト(ラテン語で「我思う」の意味)製ソフトは会話の動態を自動的に評価し、会話に現れる個々の感情をくみ取るように訓練されており、会話の内容ではなく、音声そのものを分析する。コギトのジョシュ・フィースト最高経営責任者(CEO)は「会話はダンスに似ています。人間には会話している2人がかみ合っているかどうか判断できます。話がかみ合っているかどうかは、言語よりもずっと優れた尺度なのです …