あなたの人生は日々、巨大テック企業があなたを追跡するのに使用するデジタル・パンくずを残している。あなたが電子メールを送信し、食品を注文し、番組をストリーミングすると、その貴重なデータはテック企業に送られ、あなたの好みを把握するのに使われる。つまり、機械学習アルゴリズムに入力され、あなたをターゲットとした広告やおすすめを決めるのに利用される。グーグルは、あなたのデータを、年間1200億ドルを超える広告収入として現金化しているのだ。
この仕組みから抜け出すことは、ますます不可能になっている。2019年に、当時、ギズモードの記者だったカシミール・ヒルが、巨大テック企業5社を自分の生活から切り離そうとしたのは有名な話だ。ヒルは基本的なデジタル機能を実行するのにも苦労し、6週間を惨めに過ごした。一方で、テック企業は痛くもかゆくもなかった。
今、ノースウェスタン大学の研究者チームは、私たちの集合体データを交渉の切り札として扱うことで、この力の不均衡を是正する新たな方法を提案している。テック企業は意のままに使える高度なアルゴリズムを持っているかもしれないが、訓練するのに十分なデータがなければ無意味となる。
3月初旬に開催された計算機協会(ACM:Association for Computing Machinery)の「公平性と説明責任と透明性カンファレンス(Fairness, Accountability, and Transparency conference)」の新たな論文では、博士課程の学生であるニコラス・ビンセントとハンリン・リーを含む研究チームが、一般の人々が自らを優位とするようにデータを活用する3つの方法を提案している。
人々はすでに、これらの戦術の多くを使用して自分のプライバシーを保護している。広告ブロッカーや、検索結果を変更して特定のWebサイトを除外するブラウザー拡張機能を使用したことがあるなら、あなたはデータ・ストライキを実施し、データの使用についてある程度の主体性を取り戻したことになる。しかし、ヒルが発見した通り、このような散発的な個々の行動は、巨大テック企業に行動を変えさせる上で、あまり効果がない。
だが、何百万人もの人々が、一体となって巨大テック企業のデータの「井戸」を汚染したとしたらどうだろう。要求を通すためのテコ入れとなるかもしれない。 …
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