新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因となる新型コロナウイルスの感染力の強い変異株が、カリフォルニア州とフロリダ州の下水道で発見され、米国内での存在の拡大が確認されている。
2021年1月下旬よりロサンゼルス近郊とオーランド郊外の下水管から汲み上げられた大量の汚水の中から、いわゆる英国型と共通する遺伝子変異が検出されている。
2020年12月に初めてイングランド南東部で発見された英国株B.1.1.7という新型コロナウイルスの変異株は、ワクチンへの耐性はなさそうであるが、より感染しやすいように見え、イスラエルを含む国々ではすでに優勢な株となっており、現在では症例の80%の原因となっている。一部の研究者は、米国でこの変異株が定着したとすれば、今年3月までには感染の中心になる可能性があると警告している。
新しい下水のデータは、B.1.1.7が蔓延していると推定する他のデータと一致している。2021年1月7日、米国企業ヘリックス(Helix)とカリフォルニア州の研究者は、患者の検査結果を用いて、現在B.1.1.7が米国全体の症例の1~2%、フロリダ州では4%を占めると推定した。この数値は、1月初旬に確認された割合の約4倍となっている。
オーランド近郊のアルタモンテ・スプリングスの下水道では、汚水の検査結果から、感染者の4%がB.1.1.7に感染したことが示唆されている。「マイアミやもっと大きな地域で流行すると思っていましたが、考えが甘かったです」と言うのは、アルタモンテ・スプリングスの公共事業部長であり、下水検査プログラムを監督するエド・トーレスだ。
局所的な蔓延
一部の都市では、下水道を検査することでB.1.1.7の感染者数が直接分かるようになってきている。トーレス部長が使用しているモデルでは、トーレス部長が担当する人口7万7500人の準郊外の汚水収集地域だけでも200人以上が感染していることが示されているという。
フロリダ州中部の保健当局は当初、B.1.1.7の症例は陽性だった観光客のせいだとしていたが、アルタモンテの下水検査は、B.1.1.7が地域内でも広がっていることを示している。フロリダ州では、マスクの着用や物理的な距離を確保することで営業しているテーマパークを含め、大部分が営業を続けている。
米国疾病予防管理センター(CDC)によると、患者の鼻腔ぬぐい液から採取されたウイルス検体の遺伝子配列解析によってB.1.1.7の症例が全国で直接確認 …