ここ数年の間に、1996年の米国の通信品位法230条は大きく変貌を遂げた。以前はインターネット関連規制のあまり知られていない部分にすぎなかったのが、今では、右派左派どちらにとってもそれぞれの立場を代表するような大事な旗印となっている。だからこそ、2月5日に民主党議員らが同法の見直しを図ると発表すると、テック業界の注目を浴びることとなった。
第230条をいかに改正するかについては以前にも提案があったし、トランプ前大統領も、在任中は同法について脅しをかけるような発言を何度も繰り返していた。だが、マーク・ワーナー上院議員、メイジー・ヒロノ上院議員、およびエイミー・クロブチャー上院議員が2月5日に発表した法案は、同法の本格的な改正を目指す試みとして、これまでで最も重要なステップになりそうだ。
「セーフ・テック(SAFE TECH)法」と呼ばれるこの法案に盛り込まれた変更点の多くは、重要なものだ。現在、第230条は、フェイスブックやツイッターといったプラットフォームを、ユーザーによって投稿されたメッセージに対する法的責任から免除している。だが新法案では、こうした保護の多くが剥奪されている。提案の中には、既存の連邦法に基づいたものもある。例えば、公民権やサイバーストーキングに関する法律に違反したオンライン発言には免責は適用されない。同法案はさらに、広告を含むあらゆる種類の有料の言論に対し、免責の解除を可能にしている。
これは重要な進展であり、歓迎すべきことだ、と支持者らは言う。
「違法なコンテンツの配布、増幅、配信、危険な反社会的つながりの促進といった行為に対する法的説明責任からプラットフォーム企業を隔離するために、これほどのことを行なう法的メカニズムはこれまでに存在しません」と、フォーダム大学法学部のオリビエ・シルヴァイン教授は言う。同教授は同法案を支持しており、特にこれによってオンライン広告を規制できるかもしれないという。
プラットフォーム企業が、人種差別や女性差別的なコンテンツ、過激主義的なコンテンツを節制する場合、それは「主に悪評を恐れたり、時として慎重な広告主から反対されたりするからです」とシルヴァイン教授は指摘する。
だが、今回の改正案は的外れであり、状況をはるかに悪化させる恐れがあると考える専門家も多い。
「政治家も一般の人たちも誤解しているのはないか」と指摘するのは、サンタクララ大学法学部のエリック・ゴールドマン教授だ。「第230条が改正されても、困るのは巨大テック企業ではないということです。改正によって既存の企業は参入障壁を強化でき、新規参入者にとっては競争がますます不利になります」。
「どんなサービスが改正後も第230条の条件を満たすと考えているのか?」
こうした心配をするのはゴールドマン教授だけではない。この提案によって大企業がもっと正しい行動を取るよう強いられることはなく、逆に中小企業が苦情や高額な訴訟の重みで潰されることになるのではないか、と心配する法律専門家や業界観測筋は多い。
今回の改正案に反対する人たちは、大企業が単に訴訟を避けたいという理由で多くの種類の合法的な発言をフィルタリングし始めるのではないかと懸念している。さらに、広告を対象とした改正につい …