トランプ大統領が新たに任命した米国連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ委員長の言葉を額面どおりに受け取る限り、オバマ政権下でFCCが制定したネットワーク中立性の原則は「余命いくばくもない」。では、その後は何が起きるだろうか?
2012年以来、FCC委員を務めたパイ委員長は、2015年にFCCが3対2の党派的投票で制定した「オープン・インターネット命令」を厳しく批判してきた。この命令はインターネット・サービス事業者(ISP)が違法でないコンテンツの利用を阻止したり、制限をかけたりすることを禁止している。また、企業がISPに追加料金を払い、自社のトラフィックを優先させる契約を交わすことも禁止し、消費者にとって不公正あるいは有害と見なされる商業行為を個別に取り締まる権限をFCCに与えている。
パイ委員長は広く党派を超えた問題とみなされている「ネット中立性」の概念全般に反対しているのではない。パイ委員長等のオープン・インターネット命令反対派がもっとも困惑しているのは、この命令によってブロードバンドが「情報サービス」から「電気通信サービス」に分類変更され、電気や電話を規制するための厳格なルールをISPに課す権限がFCCに与えられたことなのだ。
ネットワーク中立性に関するトランプ大統領の見解はほとんどないが、パイ委員長の指名は規制撤廃を進める意思の表 …