KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
「はやぶさ2」が皮切り、サンプルリターン計画の黄金時代が到来
NASA/JPL-Caltech
宇宙 無料会員限定
We’re living in a golden age of sample return missions

「はやぶさ2」が皮切り、サンプルリターン計画の黄金時代が到来

2020年は「はやぶさ2」をはじめとする、地球外や岩や小石を持ち帰るサンプルリターン・ミッションの当たり年だった。2021年以降にも、わくわくするようなミッションが多数控えている。 by Neel V. Patel2021.02.04

宇宙の岩石をはるか彼方から観測するのはとてもすばらしいことだ。しかし、近づかなければならない場合もある。

太陽系はどのようにして形成されたのか、いかにして地球に生命がもたらされたのか、近隣の他の世界に果たして生命は存在しているのか。こういった宇宙科学最大の疑問は、物質を直接研究することによってのみ本当の回答を得られる。つまり、サンプルを入手し、研究のために地球に持ち帰る必要がある。「サンプルを持ち帰った分だけモデル化ができます」とマサチューセッツ工科大学(MIT)の地球生物学者であるタンジャ・ボサック准教授は語る。「私たちが考えている宇宙の仕組みについてテストし、検証するには、サンプルが役に立ちます」。

2020年は、いわゆるサンプルリターン・ミッションにとって当たり年であった。米国航空宇宙局(NASA)の探査機「オサイリス・レックス(OSIRIS-REx)」のミッションでは小惑星ベンヌ(Bennu)への着地に成功し、地球に持ち帰るための、文字どおりあふれるほどの量の試料が採取された。オサイリス・レックスは、2021年5月に地球へ帰還する旅が始まる予定である。2020年12月には、日本の「はやぶさ2」ミッションが小惑星リュウグウのサンプルをついに持ち帰った。中国は12月後半に、44年ぶりとなる月の土壌の持ち帰りに成功した。

わくわくするようなサンプルリターン・ミッションは、まだまだ控えている。今から数週間後には、2020年に打ち上げられた探査車「パーサビアランス(Perseverance)」が火星に着陸し、太古の(または現在の)生命の証拠を求めて地表を探索することになっている。パーサビアランスは後日、地球へ持ち帰るためのサンプルの採掘と保存も実施する。

中国は2023年に「嫦娥6号」で月の岩石を再び地球に持ち帰ることが期待されている。ロシアも同様のミッションを2027年に「ルナ28号(Luna28)」で実施する。両国とも、10年以内に火星へのサンプルリターン・ミッションを試みると見られている。

日本の「火星衛星探査計画(MMX:Martian Moons Exploration )」ミッションは2024年に打ち上げ予定で、火星の衛星フォボスを訪問し、地表からサンプルを採取して2029年に地球へ持ち帰る計画だ。中国は準惑星セレスへのサンプルリターン・ミッションを検討している。さらに、金星大気中からホスフィンが検出された可能性があり(まだ複数のグループによって確認中だが)、金星へのミッションを実行するとすれば、どのようなものとなるかを考えている科学者と技術者もいる。 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. This Texas chemical plant could get its own nuclear reactors 化学工場に小型原子炉、ダウ・ケミカルらが初の敷地内設置を申請
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る