米国政府からローマ法王庁まで政策担当者を慌てさせた研究で、カリフォルニア州の科学者は1月26日、体内にヒトの臓器を持つブタを作る初のトンデモ計画について説明した。
実験では、ヒト幹細胞を動物の胚と融合させて生成したキメラを、部分的にヒトの組織をもつ動物の胎児に育てようとした。
カリフォルニア州ラホヤのソーク研究所の科学者は、ヒト幹細胞を2000個以上のブタとウシの胚に注入し、代理母となる動物で4週間妊娠させた。
24日に論文誌セルに発表された研究は成功とはいえない。成長したヒト細胞はほとんど無く、意味のある形で動物の胎児の発生には結びつかなかった。それでもなお、科学者はこの研究を家畜による「ヒト臓器生成」の実現に向けた第一歩としている。臓器移植を待ちながら、毎年何万人もが亡くなっているのだ。
この実験は昨年、MIT Technology Reviewの世界的スクープで大論争になったが、当時はいくつかの科学者チームがヒトと動物の細胞が混在したウシやブタ、ヒツジの胚で妊娠させた段階だった。
今回の新論文では、どの動物も2〜3週間以上は成長させず、一匹も誕生しなかった。ヒト細胞がわずかしかないことも、怪物を生み出す恐怖を和らげたといえそうだ。
それでも、この手の研究は政策決定者に目を付けられている。このような実験が、人間に近い脳を持ったブタといった、予期せぬ結果につながる恐れを念頭に、米国国立衛生研究所(NIH)は2015年下期に、研究への資金提供を一次停止した。
NIHはその後、特別委員会による規制と監視下に置くことを条件に禁止を解除することを提案した。
新政策は、現在パブリック・コメントの受付中だが、NIHによると2万2000件のコメン …