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2021年、顔認識テクノロジーとどう向き合うべきなのか?
Alexander Farnsworth | Getty
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Why 2020 was a pivotal, contradictory year for facial recognition

2021年、顔認識テクノロジーとどう向き合うべきなのか?

2020年の「ブラック・ライブズ・マター」抗議運動は、これまでにも指摘されていた顔認識テクノロジーの問題点を改めて浮き彫りにした。しかし、多くの事件や禁止令にもかかわらず、同テクノロジーは広まり続けている。 by Tate Ryan-Mosley2021.01.07

顔認証技術による誤認逮捕が米国で初めて確認されたのは、2020年1月のことだった。黒人男性のロバート・ウィリアムズは、デトロイト郊外の私道で、妻と幼い娘が見ている前で逮捕された。ウィリアムズはその日、留置所で一夜を明かした。翌日、取調室で刑事がウィリアムズに1枚の写真を見せた。写真に写っていたのは監視カメラに捉えられた、シノラのブティックから腕時計を盗んでいる黒人男性だったが、ウィリアムズとは別人だった。

「この写真に写っているのはあなたですか?」と刑事は訊いた。

「いえ、私じゃありません」とウィリアムズは答えた。

刑事は写真をもう1枚見せて、「これもあなたではありませんね?」と言った。

ウィリアムズは写真を顔の横にかざした。明らかに違う。「私じゃありません。あなたが黒人は皆似たような顔をしていると思っている人ではないといいのですが」とウィリアムズは言った。

「コンピューターによれば、これはあなたです」と刑事は答えた。

ロバート・ウィリアムズの逮捕事件に関して目新しい点は、彼が逮捕されたことでも、それが誤認によるものだったことでもない。現在の顔認識技術は、有色人種を認識する際の正確さが低いことが知られている。また、程度は定かではないが、米国の警察は顔認識を広く活用している。今回の事件が通常と違うのは、ウィリアムズを逮捕するために顔認識を使用したと警察が認めたことである。

この事件は2020年8月上旬に報道された。その夏には、米国の黒人コミュニティが警察によって不平等に厳しく取り締まられていることに対する抗議運動があったばかりであり、全米に怒りが広まった。数週間後にはさらに、デトロイトで、別の黒人男性が顔認識により誤認逮捕されたことが明らかになった。

こうした事件が起こる前から、活動家らはデトロイト市における、顔認識を活用して犯罪を減らす官民共同のイニシアチブである「プロジェクト・グリーンライト」の中止を訴えてきた。しかし同プロジェクトは今もなお続いており、しかも、市議会はデトロイト警察署と顔認識サービスの提供事業者であるデータワークス・プラス(DataWorks Plus)の契約を延長することを9月末に決議した。

矛盾だらけの1年

デトロイトでの出来事の数々は、我々と顔認識との複雑な関係を示す一例だ。顔認識はより多くの場面で利用されるようになっており、一部の分野では不可欠なものになっている。例えば小売業などの業種では有望な技術であるとして活用が始まっている。多くの技術プロバイダーは、一般の人々がバイオメトリクス(生体認証)を当たり前だと思うようになり、デジタルライフの基本になるような未来を期待している。アップルは特にそうで、今や膨大な数の利用者が毎日フェイスID(Face ID)システムを使ってアイフォーン(iPhone)のロックを解除している。

しかし同時に、一般の人々は顔認識の危険性を意識するようにもなった。刑事司法においては特にそうだ。人々は今まで以上に意識し、不安を抱き、議論するようになった。2020年に成立した顔認識に関する法律の数は、2019年までの全ての年に成立した同法律の数を合わせた数より多い。そして2019年と2020年には全米6都市で、顔認識が禁止あるいは一時的に禁止された。

これらの法律と、業界の発展の足並みを揃えるのは難しいだろう。しかし2020年に起こ …

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