KADOKAWA Technology Review
×
始めるならこの春から!年間サブスク20%オフのお得な【春割】実施中
ニュース Insider Online限定
Robotic Fabricator Could Change the Way Buildings Are Constructed

建設ロボットは正確で現場重視の施工を実現できるか?

建設ロボットの実用化には、重たい建築部材を扱える強力さ、標準的なビルで作業できる小ささ、建築現場でも移動できる移動能力が必要で、想像するより要件が厳しい。 by Emerging Technology from the arXiv2017.01.25

1970年代、ロボットは自動車産業に革命を起こし、人間よりもより確実で素早いため、さまざまな作業を任されるようになった。最近、新世代のロボットが自動車産業以外の製造ラインで稼働するようになり、レタスをパッキングするような、かなり繊細で扱いにくい作業までこなせる、優しいロボットが登場している。強力な新しい労働力により、想像もつかない方法で製造業の革命が進行中だ。

しかし、建設産業は他の多くの産業と比べて、検討すべきことが多い。建設現場は常に変化する複雑な環境であり、すべてのロボットは重たい建設部材を扱うために十分に強力でなければならない。しかも標準的なビルに入れるほど十分に軽く、小型である必要もある。さらに、ぬかるんだり部材が転がったりしている建設現場で移動できなければいけない。

難しい要件だが、潜在的なメリットは非常に大きい。建設ロボットがあれば、新しい種類の複雑な構造物を、遠くの工場で製造して現場に運ぶのではなく、現場で組み立てて建設できるようになるだろう。設計時には予測できない現場の状況に合わせて、その場で設計を変更して構造物を作れるかもしれない。

では、最先端の建設ロボットはどんなものなのだろうか?

1月24日、チューリッヒ工科大学(スイス)のマーカス・ギフターラー教授の研究チームが、建設現場で斬新な構造物を作れる新型ロボットを開発したおかげで、建設ロボットを具体的に検討できるようになった。研究チームは新ロボット「イン・シチュ・ファブリケーター1」の性能を明らかにしている。

イン・シチュ・ファブリケーター1は、建設現場で実際に作業ができるように、ゼロから設計された。さまざまなな道具を使って5mm未満の精度で作業でき、複雑な変化する環境で半自律的に活動するように設計された。また、標準的な壁の高さまでアームが届き、普通の出入口なら通り抜けるられる。防塵・防水で、通常電源で稼働し、バッテリーでも動作する。さらにインターネット接続されていれば、建設家が必要に応じて設計図をリアルタイムで変更できる。

難しい目標設定だが、イン・シチュ・ファブリケーター1は大部分を達成した。ファブリケーター(「作業者」の意味)は周囲の環境を感知するカメラ一式と、移動や作業計 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #32 Plus 中国AIをテーマに、MITTR「生成AI革命4」開催のご案内
  2. AI companions are the final stage of digital addiction, and lawmakers are taking aim SNS超える中毒性、「AIコンパニオン」に安全対策求める声
  3. This Texas chemical plant could get its own nuclear reactors 化学工場に小型原子炉、ダウ・ケミカルらが初の敷地内設置を申請
  4. Tariffs are bad news for batteries トランプ関税で米電池産業に大打撃、主要部品の大半は中国製
▼Promotion
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る