私は6年前から主にトウモロコシを育ている農家だ。ほかにコーヒーとサツマイモも育ている。2年前から、「サワ(SAWA)」と呼ばれるハイブリッド(交配種)のトウモロコシ種子を使い始めた。サワは、メキシコに拠点を置く国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)の科学者が、干ばつのような気候条件に対応するために開発した品種だ。最初は地元の種子企業、ドライランド・シード(Dryland Seed Limited)からサンプルとして提供されたが、今では非常に人気があり、多くの農家がこの種子を購入している。このハイブリッドの種子は、従来の品種よりも間違いなく優れており、収穫量も多い。味も少し違っていて、従来種より甘みがある。ケニアでは、トウモロコシをたくさん食べる。トウモロコシは我々の主食であり、トウモロコシの粉を使ったおかゆのようなウガリは特によく食べられている。
収穫期は年に2回だ。メインの収穫期は10月から12月で、収穫量が少ないサブの収穫期が2月から4月だ。ケニアの7月と8月は本当に天候が厳しく、とにかく暑い。このハイブリッド種子なら、雨が少なくてもトウモロコシがとても良い状態に育つ。また、日射量の影響もあまり受けない。トウモロコシすす紋病、灰斑病、トウモロコシ縞葉枯病ウイルス、そして2011年にケニアで大きな被害を引き起こしたウイルス性のトウモロコシ致死性壊死病などの病害の影響を受けにくいという特徴もある。
この取材を受けている10月初旬、私は農場を片づけながら、牛糞を肥料として撒いている。そして、種子を買い足し、雨を待っている。残念ながら、政府が設定したトウモロコシの販売価格は今もあまり望ましいものではない。それでも、種子を再利用(自家採種)している近隣の農家よりは多くの収穫量を確保できている。通常の種子の場合、栽培にとても手間がかかるにもかかわらず、収穫量ははるかに少ない。化学肥料などを購入するお金の余裕はないので、それ以外の方法で生産性を高められるのはありがたい。
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この記事は、普段お金を支払って口にしている食品が、隠れたイノベーションによってどのように生み出されているかを紹介するシリーズの一部です。クリシカ・ヴァラガーが取材・編集しています。
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