米政府によるワクチン開発計画「ワープ・スピード作戦(Operation Warp Speed)」の一環として開発された最初の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンが、12月17日に開催される医療諮問委員会による終日の会議の後、米国での緊急使用許可(EUA)申請が承認される見込みだ(日本版注:米食品医薬品局は12月18日、モデルナの新型ワクチンに緊急使用許可を発行したと発表した)。
この「mRNA-1273」ワクチンは、バイオテック企業のモデルナ(Moderna)によって開発された。米政府は、2021年6月までにほとんどの国民にワクチンを接種するというスケジュールの実現を、このワクチンに大きく頼っている。
新型コロナウイルス(SARS CoV-2)の遺伝暗号の断片を含むこのワクチンは、脂質粒子で覆われたmRNA(メッセンジャーRNA)の注射という新しいアプローチに基づいている。ファイザーとバイオンテック(BioNTech)によって開発された同様のワクチンの緊急使用許可申請が12月11日に承認されたが、米政府はそのワクチンを1億回分しか確保していない。世界中がワクチンを強く求めているため、供給が制限されているのだ。
ファイザーが独自にワクチンの開発を進めたのに対し、モデルナは米政府から数十億ドルの資金提供を受けて、 米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と緊密に連携して開発を進めていた。そのため、モデルナのワクチンが、米政府主導によるパンデミック収束のためのムーンショット(大胆で挑戦的な)プログラム「ワープ・スピード作戦」の最初の成功例となる。
米国で実施された大規模な治験で、モデルナのワクチンは、予想をはるかに上回る非常に良い結果を出した。2回のワクチン接種後、新型コロナウイルス感染症に対する94%の予防効果が確認されたのだ。治験で同ワクチンを接種した人のうち数人が接種後も新型コロナに感染したが、重症化した人は皆無だった。
MITテクノロジーレビューは先週、モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)に、同社ワクチンの承認を間近に控えた心境を聞いた。
米国が経済を回復させ、日常生活を取り戻せるかどうかは、モデルナのワクチンに大きくかかっている。12 …